小論文の指導をしていると、必ずと言っていいほど出てくる相談があります。
「自分の意見をはっきり書いたつもりなのに、説得力がないと言われた」
「熱意は伝えたのに、自己主張が強すぎて評価が下がった」
実はこのような悩みは、「意見の押し付け」と「説得力のある主張」の違いを整理できていないことが原因です。
小論文で求められるのは、感情的なアピールではなく、論理的かつ他者を納得させる文章です。そのためには、自分の意見を一方的にぶつけるのではなく、「読み手の視点に立って書く」ことが欠かせません。
今回は、自分の意見を押し付けず、読み手を納得させる説得力ある小論文の書き方について、具体的なテクニックとコツを解説します。
1. 「押し付け」と「説得力」の違いとは?
まず初めに確認したいのが、「自分の意見を述べる」と「意見を押し付ける」の違いです。
押し付けになってしまうパターン
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根拠があいまい:「私はこう思う。なぜならその方がいいと思うから」
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他の立場を否定:「反対する人の意見はおかしい」
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自分の主張ばかり強調:「絶対にこれが正しい」
これらは読み手にとって、「あなたの価値観をそのまま飲み込め」と言っているように感じられてしまい、反感や違和感を生む原因になります。
説得力がある主張の特徴
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客観的な事実やデータを根拠にする
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他の立場にも触れたうえで、自分の意見を述べる
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主張と根拠のつながりが明確で論理的
つまり、小論文で「説得力がある」とされる文章とは、「読み手の視点を意識して、納得感のある筋道で展開された意見」なのです。
2. 読み手を意識した構成のコツ
意見を押し付けず、かつ明確に伝えるためには、構成を工夫することが大切です。以下は、説得力のある小論文を書く際に意識したい構成の型です。
【おすすめ構成:序論→本論→反論→再主張→結論】
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序論(導入)
テーマに対する問題提起や背景を説明します。例:「近年、若者の読書離れが進んでいるという指摘がある」 -
本論(自分の主張)
自分の立場や意見を述べます。例:「私は、読書離れの背景にはデジタルコンテンツの普及があると考える」 -
反論の紹介と対応
自分と異なる意見を一度取り上げ、それに丁寧に対応します。例:「確かに、動画を通して学べる機会も増えているが、深い思考や語彙力の育成には読書の役割が重要だ」 -
再主張(自分の意見の強調)
反論に対応した上で、再度自分の主張の正当性を伝える。 -
結論
問題に対する自分の立場をもう一度簡潔にまとめる。
この構成のポイントは、「反対意見に触れることによって、自分の意見の客観性と柔軟性を示せる」ところです。自分の意見を一方的に並べるだけではなく、他者の立場を理解しようとする姿勢が、説得力を高める鍵となります。
3. 説得力を引き立てる4つの具体的テクニック
構成を意識したら、さらに以下の4つのテクニックを取り入れることで、文章の説得力がぐっと上がります。
テクニック①:データや具体例を使う
悪い例:
「高校生はもっと本を読むべきだと思う」
→根拠がなく、個人の印象で終わっている。
良い例:
「文化庁の調査では、2010年以降、高校生の読書時間は1日10分未満が半数を占めている」
→信頼性のあるデータが入ることで説得力が増す。
テクニック②:第三者の視点を取り入れる
自分の主張だけでなく、「他の人がこう考えるのも理解できるが、私はこう思う」と展開することで、読み手に安心感と共感を与えます。
例:
「確かに、スマートフォンで簡単に情報を得られる時代に、読書の必要性を疑問視する声もある。しかし、〜」
テクニック③:因果関係を丁寧に示す
「なぜそう考えるのか」「その結果、どうなるのか」を明確にすることで、主張が飛躍せずに伝わります。
例:
「読書を通じて語彙が増える。語彙が増えれば、自己表現の幅も広がる。これが、読書が必要とされる理由である。」
テクニック④:強調しすぎない言葉選び
「絶対に〜すべきだ」「必ず〜だ」といった断定表現ばかりだと押し付けがましくなります。「〜と考えられる」「〜の可能性がある」といった柔らかい表現を使うことで、印象が変わります。
4. 高校生・保護者に知っておいてほしい小論文対策の考え方
高校生へのアドバイス
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小論文は“自分の意見を述べる”課題だが、“誰かに読んでもらう文章”であることを忘れずに。
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読み手を意識して、自分の意見がどう読まれるかを客観的に見直そう。
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模範解答の「表現の工夫」を盗むことも大事。構成だけでなく語彙や論理のつなげ方も真似してみよう。
保護者にできるサポート
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テーマに対して「どう思う?」と問いかけて家庭でディスカッションの機会をつくる。
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書いた小論文を「読者」として読んであげるだけでも、大きな励みになります。
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読み手の立場からフィードバックをもらうことで、生徒自身が「他者視点」に気づけるようになります。
5. まとめ|「自分の意見」+「相手の理解」=説得力
小論文において、自分の意見をしっかり書くことは大切です。しかし、それ以上に重要なのは「読み手の視点に立つ」こと。押し付けではなく「納得してもらう」ことが、小論文で高得点を取る最大のポイントです。
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読み手が疑問に思うことに先回りして答える
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反対意見を紹介してから、自分の意見を再主張する
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感情ではなく、論理と根拠で説得する
このような考え方を身につければ、小論文は“書けば書くほど上達する”教科です。
志望校で小論文が課される受験生はもちろん、AO入試や推薦入試を視野に入れている高校1・2年生にとっても、早期からの対策が大きな差になります。


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