高校の古典の授業で学ぶ「漢文」。文章は短く、単語も漢字だけで構成されているので、「現代文より読みやすそう」と思う人もいますが、実際に訳そうとすると意外と難しく感じるものです。
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送り仮名や返り点の意味が分からない
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主語・述語がどれかわからず、意味の通る日本語にできない
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意味をつなげるだけで精一杯、設問には対応できない
こんな悩みを抱えている高校生は非常に多いです。
この記事では、漢文の日本語訳をスムーズに、そして確実に行うための基本のステップと、成績アップにつながる学習のコツをわかりやすく解説します。保護者の方も、お子さんの学習状況を理解しやすくなるように、背景や用語の意味も交えながらご紹介します。
まず押さえたい!漢文訳の基本ステップ
漢文の日本語訳は、いきなり“日本語らしい訳”を完成させる必要はありません。最初は「構造の整理」が先。そのうえで意味を当てはめていくのが正しい順序です。
■ ステップ① 返り点と訓点をチェックする
漢文には、「レ点」「一二点」「上下点」などの返り点と、読み下しの助けとなる「送り仮名(訓)」が付されています。まずはこれを見落とさず、どこからどこへ戻るのかを確認します。
例:
「学而時習之、不亦説乎。」
→ 返り点:「而(じ)」にレ点、「習」にレ点、「之」に一(いち)点
読み下し文:
「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや。」
まずは文法通りに素直に読むこと。返り点を正しく読むだけで、訳の半分は終わったも同然です。
■ ステップ② 語順を整理しながら構造をつかむ
漢文は語順が現代日本語と大きく異なるため、「誰が何をどうしたのか」が見えづらくなりがちです。
ここで重要なのが 主語・述語・目的語 の把握です。
上の例では:
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主語:「(誰かが)」省略(論語では「子=孔子」の言葉が多い)
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述語:「学び」「習い」「説(よろこぶ)」
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目的語:「之=これ=学んだこと」
訳すときは、日本語の語順(主語→目的語→述語)に自然な形で並べ替えるのがコツです。
■ ステップ③ 重要な句法を見つける
漢文の設問では「句法の理解」が問われることが多く、これを見落とすと失点につながります。句法とは、「否定・疑問・反語・使役・受け身」などの文のパターンを指します。
たとえば:
不亦~乎(また~ずや)
→ 反語:「なんと~ではないか(いや、~だ)」
この句法を知っていれば、訳もぐっと自然になります。句法ごとの定型訳を覚えておくことが、日本語訳の正確さに直結します。
よく使われる重要句法と訳のコツ
以下に、漢文で頻出する代表的な句法と、読み下し・現代語訳のコツをまとめます。
● 否定形(不・非・無・勿 など)
| 句法 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 不~ | ~せず | 単純な否定 |
| 無~ | ~無く | 存在の否定 |
| 勿~ | ~するな | 禁止 |
例:「人無遠慮、必有近憂」
→ 読み:「人に遠慮無くんば、必ず近憂有り」
→ 訳:「人に将来を考える心がなければ、必ず目先の心配ごとがある」
● 疑問・反語
| 句法 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 何~ | なんぞ~や | どうして~か(疑問)/どうして~か、いや~ない(反語) |
| ~乎(や・か) | ~か | 疑問(文末の形) |
例:「子曰、学而不思則罔、思而不学則殆。」
→ 訳:「孔子が言った。学ぶだけで考えなければ迷い、考えるだけで学ばなければ危うい。」
このように、疑問や反語の形を識別することで、自然な訳に近づけることができます。
読み下し文の練習=訳の基礎トレーニング
漢文の日本語訳が苦手な人の多くは、いきなり現代語訳をしようとしてしまう傾向があります。
しかし、最も効果的な練習法は「読み下し文」の作成です。以下の手順で練習しましょう。
【1】漢文を読む(返り点・訓点の確認)
【2】読み下し文に直す
【3】意味を補って現代語訳にする
この3ステップを繰り返すことで、漢文の語順と日本語訳の違いに慣れていきます。
日本語訳をスムーズにする“3つの視点”
日本語訳の際に意識してほしい3つの視点をご紹介します。
①「誰が」「何を」「どうするか」を探す
漢文では主語が省略されることが多いため、状況や前後の文から補って考えることが大切です。常に主語を意識することで、訳が自然になります。
②「この語はどんな役割か?」を意識する
文中の語が、「主語・述語・目的語・補語」のどれに当たるのかを見極めることで、読み下しが格段にしやすくなります。
③ 「直訳→意訳」で柔軟に訳す
最初は不自然でも構いません。まずは直訳で文の意味を取る → その後、自然な日本語に直すという順番を意識しましょう。
保護者の方へ:漢文学習をサポートするポイント
漢文は、文法や語順の特殊性から「わからないまま放置されやすい科目」です。しかし、出題形式は決まっており、学習すれば必ず得点できる“おいしい”科目でもあります。
保護者の方には、次のようなかたちでサポートをおすすめします。
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定期的に学校のテストや模試の振り返りを一緒に行う
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「何がわからないのか」を子ども自身が言葉にするのを手伝う
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暗記だけでなく、構造の理解が大切であることを伝える
特に、文法書や学校配布の「漢文句法一覧」などを見ながら、少しずつ用語に慣れるところから始めると、本人の学習のハードルが下がります。
まとめ:漢文訳は「型」と「構造」を意識すれば怖くない!
漢文は「文章の構造を理解して、型に当てはめる」ことで誰でも得意科目に変えられる分野です。
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読み下し→訳の3ステップを意識
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主語・述語・目的語を整理して語順を整える
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句法の理解を徹底し、設問対応力をつける
これらのポイントを押さえれば、漢文が苦手な人でも「意味が取れる」実感を得られます。
文の読み方に慣れてくると、故事成語や漢詩の背景知識も自然と頭に入り、入試の記述問題や共通テストの読解にも強くなります。ぜひ、日々の学習で少しずつコツを取り入れていってください。


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