漢文の勉強を進めていくと、必ず直面する壁のひとつが「返り点のある文の読み方」です。
「一二点をつけて書き下しをしなさい」と言われても、最初はどこから手をつけていいのか分からず、ただ暗記で対応しようとする生徒が少なくありません。けれども、返り点を仕組みから理解し、トレーニングを積むことで、漢文の読解は驚くほどスムーズになります。
この記事では、返り点を完璧に理解するための基本から実践的なトレーニング法までを解説します。高校入試・大学入試どちらにも対応できる力を育てるヒントになるはずです。
1. 返り点とは何か?
まずは基本の確認です。
返り点とは、漢文を日本語として正しく読むために、文字の順序を示す記号のこと。主に以下のような種類があります。
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レ点(レ) … 直前の字に返って読む
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一二点(一、二…) … 数字の順番に従って返る
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上下点(上、下) … 二字以上のまとまりをひっくり返す
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甲乙点(甲、乙) … 上下点の応用、複雑な語順を示す
これらを正しく理解しないと、書き下し文を作ることができません。
2. 返り点が苦手な生徒の共通点
実際に指導していて気づくのは、返り点でつまずく生徒には共通点があるということです。
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記号を“丸暗記”しようとする
仕組みを理解せず、「レ点=下から上」とだけ覚えている。 -
文の意味を考えない
返り点を追うことに夢中になり、誰が何をしたのかが見えなくなる。 -
書き下しのルールを忘れがち
送り仮名や語順を無視してしまい、現代語に近い形にできない。
つまり、返り点をただ「パズルのように並べ替える作業」と考えているのが大きな問題なのです。
3. 完璧に理解するための学習ステップ
では、返り点を使った文を“完璧に”理解するにはどうしたらよいのでしょうか?
ステップ1:返り点のルールを整理する
まずは教科書に載っている基本ルールを一覧で整理しましょう。
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レ点 → 一字下げてから返す
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一二点 → 数字の順に従って返す
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上下点 → 二字の順序を逆にする
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甲乙点 → 上下点の複雑バージョン
ノートに図を描きながら、何度も確認することが重要です。
ステップ2:短文で練習する
長文から始めるのは避け、短い例文で徹底的に練習しましょう。
例:
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「学而レ時習之」 → 「学びて時に之を習ふ」
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「人不レ知而不レ慍」 → 「人知らずして慍らず」
短文なら返り点の動きが理解しやすく、応用力も身につきます。
ステップ3:書き下し文を“声に出す”
返り点の練習では、実際に声に出して読むことが大切です。
頭で理解したつもりでも、口に出してみると「あれ、ここはどう返るんだっけ?」と混乱することがあります。音読を繰り返すことで、自然に語順が身につきます。
ステップ4:文脈と一緒に理解する
返り点は単なる記号ではなく、「意味のある順序」を示しています。
返り点を追いながら、同時に「これは誰が何をしている文なのか」を考えることで、文脈理解と結びつきます。
ステップ5:長文で実戦演習
短文で慣れたら、入試レベルの文章で練習します。
過去問を使うのが一番効果的です。返り点を確認しながら書き下し文を作り、現代語訳へとつなげましょう。
4. 実際のトレーニング例
ここでは、返り点を理解するためのトレーニングを具体的に紹介します。
トレーニング1:レ点マスター
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「君子レ学而レ不レ思則罔」
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書き下し:君子学びて思はざれば則ち罔し
まずはレ点だけの文を徹底的に練習。
トレーニング2:一二点練習
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「学而一時習二之」
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書き下し:学びて時に之を習ふ
数字に従って返す練習を繰り返します。
トレーニング3:上下点練習
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「仁者上愛下人」
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書き下し:仁者は人を愛す
二字の順序を入れ替える感覚を身につけます。
トレーニング4:長文演習
模試や過去問で、実際に返り点が複数ある文章を扱う。最初は大変ですが、短文練習の積み重ねが効いてきます。
5. 保護者の方へ:家庭学習を支える視点
お子さんが漢文を苦手にしているとき、返り点は特に「何となく避けてしまう分野」になりがちです。
保護者の方がサポートするときは、
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「返り点は記号遊びではなく、日本語に直す手がかり」
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「短い文で声に出して練習するのが大事」
と声をかけてあげてください。
丸暗記ではなく「意味を理解して読む」姿勢が、入試での得点力に直結します。
まとめ
返り点を完璧に理解するには、
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基本ルールの整理
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短文での繰り返し練習
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書き下し文を声に出す
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文脈と合わせて読む
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過去問で実戦演習
というステップが効果的です。
返り点は最初こそ複雑に見えますが、トレーニングを積めば必ず慣れます。そして「返り点が読める」ことは、漢文を日本語の文章として理解する大きな第一歩です。
古文・漢文の勉強は、正しいトレーニングで必ず伸びます。学校の授業や参考書だけで不安を感じるときは、専門的なサポートを取り入れるのも有効です。効率よく得点につながる学習法で、入試に備えていきましょう。


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