【漢文】漢文の重要句法を徹底的に整理して学ぶ

古文・漢文の勉強法

漢文が苦手だと感じている高校生の多くは、「語句」や「書き下し文」の暗記には慣れていても、「句法」の理解があいまいなままになっていることが多いです。
しかし、大学受験では漢文句法の理解が点数を左右します。特に共通テストでは、文全体の意味を正確に読み取ることが求められるため、句法の把握は必須です。

この記事では、漢文の重要句法を体系的に整理し、どのように学べば実力がつくのかを詳しく解説していきます。単なる暗記ではなく、**「文の構造理解」→「読解の再現」→「問題演習への応用」**という流れで身につけることができるようにまとめました。


1. 句法とは何か ― 意味と役割の整理

まず、「句法」とは、文中で一定の意味や機能をもつ語の使い方の決まりのことです。
現代日本語でいえば、「〜している」「〜しようとする」などの文型や助詞の使い方にあたります。

漢文では一語一語の意味だけでなく、語順や助字(助動詞・助詞に相当するもの)によって文意が大きく変わります。
したがって、句法を覚えるとは「文法的な骨組みを理解する」ことなのです。


2. 漢文句法の3つの基本カテゴリー

句法は多くありますが、まず押さえておきたいのは以下の3つのカテゴリーです。

  1. 再読文字の句法

  2. 否定・疑問・反語の句法

  3. 使役・受け身・比較などの構文句法

この3つが土台です。それぞれの中でさらに重要な句法を順に整理していきましょう。


3. 再読文字 ― 意味の変化を意識して読む

再読文字とは、二度読むことで意味が完成する特殊な助字です。
たとえば「未(いまだ〜ず)」「将(まさに〜んとす)」「当(まさに〜べし)」など。

以下のように整理しておくと覚えやすいです。

文字 読み方 意味・訳し方
いまだ〜ず まだ〜していない
まさに〜んとす これから〜しようとする
まさに〜べし 当然〜すべきだ
まさに〜べし 〜するのがよい・〜すべきだ
よろしく〜すべし 〜するのが適当だ
すべからく〜すべし 必ず〜しなければならない
なほ〜のごとし ちょうど〜のようだ
なんぞ〜ざる どうして〜しないのか(勧誘)

再読文字は「助動詞+助詞」のように働き、文全体の意味を決定します。
共通テストでは「文の流れの推測問題」でよく問われるため、単語カードにして反復練習しておくのが効果的です。


4. 否定・疑問・反語 ― 文意の方向を見極める

次に重要なのが、否定・疑問・反語の句法です。これらは文の「方向性」を決める役割を持っています。

(1)否定句法

代表的な否定の助字には「不」「非」「無」「勿」があります。

  • 不〜 … 「〜せず」:単純な否定

  • 非〜 … 「〜にあらず」:名詞・形容詞を否定

  • 無〜 … 「〜なし」:存在の否定

  • 勿〜 … 「〜するなかれ」:禁止

「不」は動作、「非」は性質、「無」は存在、「勿」は命令を否定するという整理で覚えましょう。
例えば、「不知(知らず)」は行為の否定、「非人(人にあらず)」は性質の否定です。

(2)疑問句法

疑問は「〜か?」の意味を持つ表現で、「何」「誰」「安」「孰」などが使われます。
例:

  • 「何為(なんすれぞ)〜」=なぜ〜するのか

  • 「安(いづくにか)〜」=どこで〜か

疑問詞が文頭にあるときは、文の終わりが「〜か」となるパターンが多いので、見分けがつきやすいです。

(3)反語句法

反語は、「〜か、いや〜ない」と訳す文。
見た目は疑問形でも、実際は否定を強調します。

  • 「豈〜哉」=どうして〜だろうか、いや〜ない

  • 「安〜哉」=どこで〜だろうか、いや〜ない

共通テストでは、「筆者の主張が反語的に表現されている文」が正答の根拠になることが多いため、反語句の見抜き方を理解しておきましょう。


5. 使役・受け身・比較などの構文句法

(1)使役の句法

  • 使A〜B(AをしてBせしむ)
    →「AにBさせる」

  • 令A〜B(AをしてBせしむ)
    →「AにBさせる」

「使」「令」「教」「遣」などが使役の代表。人物Aと動作Bの関係を常に意識することがポイントです。

(2)受け身の句法

  • A於B(A、Bに〜される)
    →「AはBに〜される」
    例:「王於敵敗」(王は敵に敗れる)

「於・被・見」などが受け身を示す語です。
見た瞬間に主語と行為者を入れ替えて読めるように、短文で練習しておくと実戦で強いです。

(3)比較の句法

  • A於B(A、Bより〜)
    →「AはBより〜だ」

同じ「於」が受け身にも比較にも使われますが、文意で判断します。
「より〜」のニュアンスがあれば比較、「〜される」なら受け身です。
助動詞の「〜す」「〜せらる」と訳を混同しないよう注意しましょう。


6. 学び方のポイント ― 暗記から理解型学習へ

句法は丸暗記だけでは長期記憶に残りません。
おすすめの勉強法は「構造的理解→例文再現→実践読解」の3ステップです。

ステップ①:構造理解

まずは句法をカテゴリーごとにまとめ、自分のノートで整理しましょう。
「再読」「否定」「疑問」「反語」「使役」「受け身」「比較」など、章ごとにページを分けると整理しやすいです。

ステップ②:例文の再現

句法を一つずつ短文で再現し、書き下し文と現代語訳を自分の言葉で書く練習をします。
手を動かして書くことで、知識が「使える形」に変わります。

ステップ③:実践読解

最後に、共通テストレベルの漢文長文で句法を意識的に確認。
句法を「見抜く」練習を繰り返すことで、意味の構造を自然に掴めるようになります。


7. よくある間違いとその修正法

  1. 「於」をすべて受け身で訳してしまう
     →前後の文脈に「比較対象」がある場合は比較句。意味を読んで判断。

  2. 反語を疑問のまま訳す
     →「豈」「安」「誰」が強調されていれば反語。必ず「いや〜ない」と訳す。

  3. 再読文字を一度しか読まない
     →構造上の「まさに」「すべし」などを落とすと文意が崩れる。丁寧に2段階で読む。


8. 共通テスト・二次試験での活用法

共通テスト漢文では、単なる暗記ではなく「意味理解と文構造の把握」が問われます。
句法をマスターすれば、選択肢の正誤を判断する際に「根拠」を明確に持てるようになります。

また、国公立二次や私立大の記述問題でも、「再読文字」「反語」「使役」などを正確に訳せるかが得点の分かれ目になります。
句法知識が文章全体の読解力につながることを意識して学びましょう。


9. まとめ ― 句法を制する者が漢文を制す

漢文は「句法」がわかれば一気に読めるようになります。
再読文字や否定句法、使役や受け身などは、最初は複雑に感じても、整理して繰り返し練習することで自然と身につきます。

重要なのは、「意味を作る文のルール」を意識すること。
語句よりも句法、暗記よりも理解。
この姿勢で学ぶことで、漢文は暗号のような文ではなく、明快な論理のある文に見えてきます。


受験の合否を分けるのは、基礎の徹底度です。
句法という“文の骨組み”を固め、確実に得点につなげていきましょう。

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