共通テスト現代文で多くの受験生が抱える悩みの一つが、「選択肢で迷う」ことです。
本文の内容はある程度理解できているのに、選択肢を読んだ瞬間に「どれも正しそう」に見えてしまい、最終的には“なんとなく”で選んでしまう。
その結果、ケアレスミスではなく「選択肢の罠」に引っかかって失点する――。
このような経験がある人は少なくないでしょう。
現代文の得点を安定させるには、「選択肢を見抜く力」=消去法の精度を上げることが欠かせません。
今回は、「共通テスト現代文で選択肢に惑わされないための消去法のコツ」を、段階的に解説します。
「読み方」だけでなく、「選び方」にフォーカスした実践的な内容です。
1. 「消去法」は“最後の手段”ではない
まず、勘違いしがちなポイントを確認しておきましょう。
多くの受験生は、「消去法=迷ったときに使う方法」だと思っています。
しかし、実際はその逆です。
消去法は“最初から”意識して選択肢を読むべき方法なのです。
現代文の選択肢は、「本文に書かれている内容をもとに」「どの選択肢が一番正確か」を判断する問題です。
つまり、本文の理解に加えて、他の選択肢をいかに根拠を持って消すかがカギになります。
「なんとなく正しい」ではなく、
「この部分が本文とズレているから誤り」
「筆者の主張とは方向が逆だから除外」
といった“理由付きの消去”ができるようになれば、現代文は確実に安定します。
2. 消去法の第一歩:「本文の根拠」を必ず探す
共通テスト現代文の選択肢は、巧妙に作られています。
全てが完全な間違いではなく、一部だけが正しいことが多いのです。
そのため、「全体として本文に忠実か?」を判断する必要があります。
ここで重要なのが、「根拠の照合」です。
【ポイント】
-
選択肢を読むたびに「本文のどの一文に対応しているか」を探す。
-
対応箇所が曖昧なものは“危険信号”。
たとえば、本文に「AはBの手段である」と書かれているのに、
選択肢が「AはBの目的である」と書かれていれば、それは明らかにズレです。
このように、“本文に戻って確認する習慣”が、消去法の土台になります。
逆に、「なんとなく合っていそう」で選ぶ人は、筆者の意図を取り違える危険があります。
3. 「部分正解」に騙されない
共通テストの選択肢は、「前半は正しいが後半でズレる」「主語だけ違う」といった“部分正解型”が非常に多いです。
だからこそ、選択肢は文全体を丁寧に読み切ることが大切です。
例:
本文:「筆者は、SNSが情報共有の場として価値を持つと述べる一方で、依存の危険性にも言及している。」
選択肢A:「筆者は、SNSの有用性を全面的に肯定している。」
この選択肢は、一見本文と近いように思えますが、「全面的に肯定」という表現がポイントです。
筆者は「価値を認めつつ、危険も指摘している」ので、“全面的”は誤り。
つまり、「一部合っている」選択肢ほど危険なのです。
消去法では、「どこまでが本文と一致していて、どこからがズレているのか」を確認しましょう。
【チェックリスト】
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修飾語(すべて・常に・だけ・必ずなど)に注意
-
主語と述語の対応関係を確認
-
抽象的な表現の中に“誇張”がないか見る
特に「すべて」「完全に」「〜に限る」などの断定表現を含む選択肢は、誤答である可能性が高いです。
4. 「キーワード」を手がかりにして照合する
消去法を効果的に使うには、「本文の重要語句=キーワード」を軸に考えることが有効です。
共通テストでは、筆者の主張や文構造を示す言葉(転換語・対比語など)が必ず鍵になります。
代表的なキーワードの例:
-
「しかし」「一方で」「つまり」「たとえば」「したがって」
これらは本文の流れを変えるサイン。
選択肢がそれに対応していない場合、論理関係が崩れていると判断できます。
例:
本文:「Aは便利である。しかし、人間関係を希薄にする危険もある。」
選択肢B:「筆者は、Aが人間関係を深める手段になると述べている。」
この場合、「しかし」以降の部分を無視して逆の意味を取っているため、明確に誤りです。
本文中の「逆接」や「例示」などを見落とすと、こうした選択肢に引っかかってしまいます。
キーワードを意識して読んでおけば、選択肢を消す根拠が明確になります。
5. 「本文の主張」と「設問の要求」を混同しない
現代文で失点しやすい原因の一つに、「本文の要点理解」と「設問が問うこと」を混同してしまうことがあります。
たとえば、設問が「筆者が最も強調しているのはどれか」であれば、本文全体の主張に関わる選択肢を選ぶ必要があります。
一方で、「この段落で述べられている内容」と問われている場合は、一部分の説明に注目すべきです。
つまり、
-
設問の意図(全体か部分か)
-
選択肢がそのレベルに合っているか
を照らし合わせて判断することが、正答率アップの鍵になります。
6. 「逆方向の選択肢」は最優先で除外する
選択肢の中には、本文の主張と逆の方向性を取るものが含まれています。
たとえば筆者が「Aは問題だ」と言っているのに、「Aは有益だ」と書かれているものです。
このような逆方向の選択肢は、最初に除外しましょう。
それだけで残りの選択肢が絞り込まれ、判断がしやすくなります。
【ワンポイント】
本文に「批判」「懸念」「危険」といった否定的語句がある場合、
選択肢が「評価」「推奨」「期待」などの肯定語句を使っていれば、誤答の可能性が高いです。
7. 「正しい選択肢」は意外と“地味”
共通テストの正答は、往々にして“地味”です。
「筆者の主張を要約しただけ」「本文をそのまま言い換えた程度」など、派手さがありません。
逆に、間違った選択肢ほど、抽象的でカッコいい表現や感情的な言葉を使う傾向があります。
「〜を示唆している」「〜を批判している」「〜を求めている」といった曖昧な言い回しには注意が必要です。
【心得】
「一見もっともらしい選択肢」ほど疑ってかかる。
「本文の言葉に最も近いもの」が正答である可能性が高い。
8. 練習法:「選択肢分析ノート」を作る
実際の勉強では、過去問や問題集を解いたあと、**「選択肢分析ノート」**を作ることをおすすめします。
ノートに書く内容:
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問題番号・設問内容
-
誤った選択肢とその“ズレのポイント”
-
本文中の根拠(該当箇所を引用)
これを繰り返すと、「よくある誤答パターン」が見えてきます。
よくある誤答パターン例:
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「一部正しいが全体でズレる」
-
「主語が異なる」
-
「本文の因果関係が逆転している」
-
「筆者の意見ではなく引用者の意見を取っている」
こうしてパターンを言語化しておくと、本番で“見抜く感覚”が磨かれます。
9. 本番直前の確認ポイント
試験当日に使える、実践的なチェックリストを最後に紹介します。
【共通テスト現代文・消去法チェックリスト】
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本文の根拠が見つからない選択肢は×
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「すべて」「だけ」「必ず」など断定語は×の可能性大
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主語・述語が本文と一致しているか確認
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部分正解型に注意(前半〇・後半×など)
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本文の逆方向(肯定⇔否定)に注意
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正解は「地味」で「本文に忠実」
この6つを頭に入れておくだけで、共通テストの現代文は安定します。
10. まとめ:消去法は“論理的思考”の練習でもある
消去法を鍛えることは、単なるテクニックではありません。
「なぜこれは正しくないのか?」を言語化する過程こそが、論理的思考のトレーニングなのです。
本文の構造をつかみ、設問の意図を読み取り、選択肢を根拠に基づいて消していく――。
この流れを意識できるようになれば、共通テスト現代文だけでなく、国公立二次試験の記述問題にも強くなります。
「読む」力と「選ぶ」力は表裏一体です。
消去法を“最後の頼み”ではなく、“最初の武器”として使いこなしましょう。


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