【小論文】評論文の要約力を鍛える勉強法

小論文の書き方

小論文や現代文でつまずく生徒の多くが共通して抱える課題――それが「要約が苦手」という問題です。
評論文を読んでも、「筆者が何を言いたいのか分からない」「要点を短くまとめられない」という声は、毎年多くの受験生から聞かれます。

しかし、要約力は小論文において最も重要な基礎力です。
なぜなら、小論文とは「他者の意見を正確に理解し、自分の意見を論理的に述べる」試験だからです。
その第一段階である“他者の意見を理解する”力こそ、要約力なのです。

今回は、評論文の要約力を効率的に鍛える勉強法を、具体的なステップに分けて紹介します。
学校の授業や模試対策にもすぐに活用できる内容です。


1. 要約とは「削ること」ではなく「構造をつかむこと」

多くの生徒が誤解しているのが、「要約=短く書くこと」という思い込みです。
確かに要約は文章を短くしますが、**目的は“短縮”ではなく“整理”**です。

評論文には、必ず以下のような構造があります。

【主張】筆者が伝えたいこと
【理由】主張を支える根拠や例
【展開】反論・対比・具体例・結論

要約とは、この構造の中から「筆者の主張と、それを支える根拠」を抜き出して整理する作業です。
つまり、文章の“骨組み”を再構築する力を養うことが、真の要約力につながります。


2. ステップ①:段落ごとに「何を言っているか」を一文でまとめる

評論文を読むとき、いきなり全文を要約しようとしても難しいものです。
まずは段落ごとに内容を一文でまとめる練習から始めましょう。

【練習例】

たとえば次のような一節があったとします。

現代社会では情報の即時性が重視されるが、それは深い思考を犠牲にする危険もはらんでいる。

この場合、段落要約はこうなります。

「情報社会では速さが優先され、思考の深さが失われつつある。」

こうして一文で要約する練習を繰り返すと、自然に「段落の中心文」を見抜く力が養われます。

段落ごとの要約を積み重ねれば、本文全体の流れ(問題提起→展開→結論)がつかみやすくなります。


3. ステップ②:接続語を手がかりに論理の流れをつかむ

評論文の最大の特徴は、論理の筋道が明確であることです。
筆者の意見は必ず「接続語」でつながっています。

【論理の流れを示す接続語の例】

  • 逆接:「しかし」「だが」「ところが」

  • 順接:「したがって」「だから」「ゆえに」

  • 例示:「たとえば」「具体的に言うと」

  • 補足:「つまり」「言い換えれば」

要約を作るときは、これらの接続語を意識して、どの部分が主張で、どの部分が説明や補足なのかを整理します。

【具体例】

「AはBである。しかしCの点では問題がある。」

→「Aには利点があるが、Cの点で欠点がある」と一文でまとめられます。

このように接続語を「構造の目印」として使えば、要約の精度が一気に上がります。


4. ステップ③:「筆者の主張」と「具体例」を分けて考える

評論文では、筆者が主張を裏付けるために例を出すことが多いです。
しかし、受験生の多くは例に気を取られ、筆者の本当の主張を見失ってしまいます。

要約では、「何を伝えるための例なのか?」を意識しましょう。

【例】

筆者は、個人主義が広がる社会では人とのつながりが希薄になると述べる。たとえば、SNSでは“つながっているようで孤立している”現象が見られる。

→ 要約:「個人主義が進むと人間関係が希薄になる。」

SNSの部分はあくまで例です。
要約では、“例”を省いて“主張”だけを残すことが基本です。

この訓練を繰り返すと、「どの部分が中心か」を判断する読解力も自然に養われます。


5. ステップ④:「三段構成」で要約を整理する

小論文で出題される評論文の要約は、**三段構成(序・本・結)**を意識するとまとまりやすくなります。

【要約の型】

  1. 【序論】筆者が問題視していること(問題提起)

  2. 【本論】その理由・根拠・背景

  3. 【結論】筆者の主張・提案

たとえば、次のような文章ならこう整理できます。

(本文)
現代の若者は情報を受け取るのが早いが、その一方で自分で考える時間を失っている。この状況を改善するには、情報を“取捨選択する力”を育てる教育が必要である。

→ 【要約例】

「情報過多の社会で若者の思考力が低下している。これを防ぐには、情報を選ぶ力を育てる教育が重要だ。」

このように、「問題→原因→対策(主張)」の順に整理すると、要約が自然で読みやすくなります。


6. ステップ⑤:要約文を「40〜80字」で練習する

評論文の要約力を鍛えるには、実際に手を動かす練習が欠かせません。
特に効果的なのが、「40〜80字で要約」トレーニングです。

制限字数を設けることで、「不要な部分を削り、要点だけを残す力」が磨かれます。

【例題】

「グローバル化によって文化は多様化したように見えるが、実際には同質的な価値観が広まり、個性が失われている。」

→ 【要約(50字)】

「グローバル化で文化は多様化したように見えるが、実際は画一化が進んでいる。」

このような短文要約を、新聞の社説・評論・現代文の本文などで毎日1本練習すると、文章要約の「瞬発力」が身につきます。


7. ステップ⑥:他人の要約と比べてみる

自分の要約が合っているかどうかを確認するには、他の人の要約文と比較するのが最も効果的です。

学校や塾での添削、または新聞社の「天声人語要約コンテスト」などを活用して、
「同じ本文をどうまとめているか」を見ると、自分の抜けや偏りが分かります。

特に小論文指導では、以下の観点で要約をチェックします。

  • 主張が明確に書かれているか

  • 具体例を入れすぎていないか

  • 本文の因果関係が保たれているか

この比較作業を続けることで、“要約の質”が格段に上がります。


8. ステップ⑦:要約→意見の流れを意識する

小論文では、要約問題の後に「あなたの考えを述べなさい」と問われることが多いです。
このとき重要なのは、要約と自分の意見を論理的につなげること

たとえば、要約で「情報の取捨選択が重要」と書いたなら、意見部分では
「その力を育てるために、学校教育では〜を行うべきだ」といった形で発展させます。

要約と意見がズレてしまうと、文章全体の一貫性が失われて減点対象になります。
「要約=自分の意見の土台」と考えて練習しましょう。


9. ステップ⑧:日常の読書・ニュースから“要約習慣”を作る

評論文に強くなる生徒ほど、「日常の中で要約を意識している」傾向があります。

たとえば:

  • 新聞記事を読んで「この文章の主張は?」と一文でまとめてみる

  • ニュース番組を見ながら「結局、何が問題なのか?」を言語化してみる

  • 本やコラムを読んだ後に「筆者の意見は○○だ」とメモする

こうした小さな習慣が積み重なると、自然と“情報を整理する思考力”が身につきます。
これは小論文だけでなく、面接やディスカッションでも生きるスキルです。


10. よくあるNGパターンと修正法

最後に、要約練習でありがちな失敗パターンを紹介します。

NG例 問題点 改善の方向
具体例ばかりを書いている 主張が抜け落ちている 「筆者が何を言いたいか」を最優先に書く
文をそのまま抜き写している 自分の言葉で再構成できていない 同じ意味を別の言葉で言い換える
本文の順番どおりに並べるだけ 構造を整理できていない 「問題→理由→結論」の流れを意識
字数を気にせず冗長になる 要点がぼやける 40〜80字練習で“圧縮力”を磨く

この表を意識して練習すれば、要約の質は確実に向上します。


まとめ:要約力は「読む・考える・書く」をつなぐ基礎力

評論文の要約力とは、単なる国語のテクニックではなく、
「情報を整理し、本質を見抜く力」そのものです。

この力があれば、小論文はもちろん、英語のリーディングや面接の回答、さらには社会に出てからの説明力にもつながります。

要約力を鍛える最短ルートは、

  1. 段落ごとの要点整理

  2. 接続語と構造の分析

  3. 40〜80字要約練習
    この3ステップを日々繰り返すことです。

評論文を「読む」だけでなく、「整理して再構築する」訓練を積み重ねていきましょう。
それが、確実に得点につながる“考える力”を育てます。

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