共通テストの現代文は、「時間は足りないし、選択肢も紛らわしい」と感じる受験生が多い科目です。文章そのものは読めるのに、設問になると急に迷ってしまう──。そうした悩みの原因の多くは、「本文」と「設問」を別々に読んでしまっていることにあります。
現代文は“本文を読む力”だけでなく、“設問で問われている内容を的確に読み取る力”が試されます。そこで有効なのが、「本文と設問の往復読み」という読解法です。この記事では、この方法の具体的な手順と、成績を安定させるための練習法を詳しく解説していきます。
1.なぜ「往復読み」が共通テスト現代文に有効なのか
共通テストの現代文は、評論・小説(または随筆)の2題構成。どちらも選択肢問題ですが、本文量が多く、選択肢の言い回しも複雑です。
このとき多くの受験生は、「まず本文を全部読む → 設問を見る → 該当箇所を探す」という流れで解きます。
しかし、この方法では次のような問題が起こりやすいのです。
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読んだ内容を細部まで覚えていられない
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設問の意図と関係のない部分を一生懸命読む
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選択肢を本文と照らし合わせる時間が足りなくなる
「往復読み」は、こうしたロスを減らし、本文理解と設問理解を“リンクさせながら”進める読解法です。
2.往復読みの基本ステップ
ステップ① まず「設問をざっと確認」する
本文を読む前に、設問文(特に問2〜問6あたり)をざっと眺めます。
問いの種類(内容説明・指示語・接続関係・要約など)を確認することで、「本文のどこを注目して読めばいいか」の方向性がつかめます。
たとえば、問2で「傍線部Aの理由として最も適当なものを選べ」とあれば、「Aの前後に因果関係が書かれているだろう」と予測できます。
こうして“設問の狙い”を先に意識しておくと、本文を読むときに重要箇所が自然と目に入ってきます。
ステップ② 本⽂を段落ごとに区切って読む
いきなり全文を通して読むのではなく、段落ごとに「どんな主張が書かれているか」を整理しながら読みます。
評論文なら「筆者の主張・対立意見・具体例」の3要素を意識して、内容をメモしておくと良いでしょう。
たとえば次のような要約メモを取ります。
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第1段落:テーマ提示(人間の判断は感情に左右される)
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第2段落:対立意見の紹介(理性で判断すべきだ)
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第3段落:筆者の反論(感情も合理的な判断の一部だ)
この段階では細かい語句の意味を調べる必要はありません。全体の論の流れをつかむことが大事です。
ステップ③ 設問に戻って「該当箇所」を特定する
本文を一度読んだら、設問に戻りましょう。
問われている部分(傍線部や表現)を見つけたら、本文中の該当箇所を正確に探します。
多くの設問は、答えが本文の前後2~3行以内に隠れています。
ここでのポイントは、「本文を読んだ記憶」ではなく、「実際の本文に戻って確認する」こと。
記憶頼みで選択肢を選ぶと、出題者の“引っかけ”にほぼ確実に引っかかります。
ステップ④ 本文の根拠をもとに選択肢を検証する
該当箇所を見つけたら、本文と選択肢を1つずつ照らし合わせます。
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「本文の表現を言い換えている選択肢」
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「本文には書かれていない内容を加えている選択肢」
この2つを見極めることが重要です。
特に共通テストでは、「一部は正しいが全体ではズレている」選択肢が多く出されます。
たとえば本文が「感情は判断の出発点になる」と書いてある場合に、
「感情は判断を妨げる」と書いてある選択肢を選ぶと、真逆の意味になります。
往復読みでは、「本文に書かれていることだけ」を根拠に判断します。本文に戻る回数が増えるほど、正答率は安定します。
3.往復読みを習慣化する練習法
では、どうすればこの読解法を日常の勉強に取り入れられるでしょうか?
ポイントは「1題をじっくり解く練習」を重ねることです。
(1)まずは1題に45分かけて丁寧に解く
最初から時間を意識しすぎると、本文を雑に読んでしまいます。
初期段階では「本文を読む → 設問に戻る → 本文に戻る」を徹底し、根拠を確認しながら慎重に進めましょう。
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設問ごとに「根拠となる本文の一文」をノートに書く
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選択肢の誤りの理由を具体的に書き出す
こうすることで、本文との対応関係が明確になり、文章構造の理解力が鍛えられます。
(2)慣れてきたら時間を短縮していく
往復読みの動作がスムーズになったら、時間を少しずつ短縮していきましょう。
最終的には「評論15分、小説15分」を目標にします。
慣れてくると、「設問を先に読む段階で本文の構造を予測できる」ようになり、本文を読むスピードが自然に上がります。
共通テスト本番で焦らずに解くためには、この“読解のリズム”を体に染み込ませておくことが大切です。
(3)誤答の原因分析を必ず行う
現代文は「間違えた原因」を分析することが上達の近道です。
たとえば以下のように、間違いのパターンを分類してみましょう。
| 間違いの原因 | 具体例 | 改善策 |
|---|---|---|
| 根拠があいまい | 記憶で選択肢を判断 | 本文に必ず戻って確認する |
| 抽象語の意味があやふや | 「合理性」「主体性」などが理解できていない | 現代文用語帳で確認する |
| 対比・因果関係を見落とした | 「しかし」「したがって」などを軽視 | 接続語に印をつけて読む |
こうした分析を続けると、自分の弱点が明確になり、対策が立てやすくなります。
4.「評論文」と「小説」での往復読みの使い分け
評論文では論理構造を追い、小説では登場人物の感情の流れを追うという違いがあります。
しかし、「本文と設問を往復する」という基本姿勢はどちらにも共通します。
評論文の場合
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主張・根拠・対比を意識する
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傍線部が「筆者の意見」なのか「他者の意見」なのかを区別する
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「なぜそう考えるのか」を因果関係で探す
小説の場合
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心情変化のきっかけを特定する
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設問に出てくる「傍線部Aのときの心情」を、前後の描写から読み取る
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「語り手の視点」と「登場人物の視点」を混同しない
いずれも、「本文のどこに根拠があるか」を見つける作業を徹底することが、得点アップにつながります。
5.保護者の方へのサポートのヒント
現代文の勉強は、一見「センス」や「読書量」で決まるように思われがちですが、実際は「練習の質」で大きく変わります。
お子さんが「設問の意図」を意識しながら本文を読めているか、「なぜこの選択肢が正解なのか」を説明できているか──。
その2点ができていれば、現代文の点数は安定します。
保護者の方ができるサポートとしては、
「この問題、どの部分が答えの根拠になったの?」と質問してあげることです。
本文と設問を行き来して考える習慣が自然と身につきます。
6.まとめ:共通テスト現代文は“往復力”で勝つ
共通テスト現代文で高得点を取る人に共通しているのは、「本文と設問を行き来する癖」が身についていることです。
単に速く読むのではなく、設問の意図をつかみながら本文を読み、根拠を確認しながら選択肢を吟味する──この一連の流れが「往復読み」です。
ポイントをまとめると、
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本文を読む前に設問をざっと確認
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段落ごとに内容を整理しながら本文を読む
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設問の該当箇所に戻って根拠を探す
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本文の言い換え・省略・対比を意識して選択肢を検証する
この練習を繰り返すことで、現代文は「感覚で解く科目」から「論理的に解ける科目」へと変わります。
往復読みを習慣化し、共通テスト本番で安定した読解力を発揮しましょう。


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