共通テストの現代文において、多くの受験生を悩ませるのが「小説問題」です。
文章自体は読みやすく、ストーリーも比較的理解しやすいはずなのに、選択肢になると一気に難しくなる――。そんな経験をした生徒は非常に多いです。
その原因として最も大きいのが、**「感情移入しすぎ」**という読み方のクセです。
小説は物語であり、登場人物に感情移入して読むのは自然なことですが、
入試問題ではあくまでも“筆者の描写に基づいた読解”が求められています。
ところが、実際には自分の経験や感情を重ねて読んでしまい、
・「主人公ならきっとこう思うはず」
・「この場面はかわいそうだから…」
・「自分だったらこう感じるから…」
といった“自分目線”の読み方をしてしまう受験生が非常に多いのです。
この記事では、小説問題で点数が安定しない原因を分析しつつ、
感情移入を抑えて論理的に読み解くための方法を解説します。
■感情移入しすぎると、なぜ間違えるのか
小説問題は「登場人物の気持ち」を問われることが多く、
つい自分の解釈で読んでしまいがちです。
しかし、共通テストで求められているのは、
**本文の描写に基づいた「根拠のある読解」**です。
感情移入しすぎると次のようなズレが生じます。
① 自分の価値観で読み替えてしまう
たとえば「母親が無言で部屋を出た」という描写があったとします。
本来は
・戸惑っている
・気まずい
・言葉を探している
など、文脈に応じた読み取りが必要です。
ところが、感情移入しすぎると
「自分なら怒るから、お母さんも怒っているはず!」
というように、本文と関係が薄い解釈をしてしまいます。
② 筆者が描いていない部分を補ってしまう
文学作品には「行間」があります。
しかし、入試の小説問題では「行間の読み取り」はなく、
本文に書かれている“事実”だけで推測する必要があります。
感情移入をしすぎると
「たぶん主人公は本当は悲しかったのだと思う」
など、本文にない「勝手な補足」が入ってしまいます。
③ 選択肢で自分の感情に寄せた選択をしてしまう
共通テストの選択肢は、感情移入しやすい受験生ほど間違えやすいように作られています。
たとえば
・“可哀想”
・“嬉しい”
・“怒り”
など、受験生が感情的に理解しやすい表現を入れてミスを誘います。
だからこそ、感情ではなく、本文の根拠を軸に読む姿勢が必須なのです。
■感情移入しすぎないための3つの原則
では、具体的にどのようにすれば感情移入しすぎずに小説を読めるのでしょうか。
ここでは、受験生全員に身につけてほしい“3つの原則”を紹介します。
◆1.「登場人物の気持ち=本文の描写+理由」で読む
一番大切なのは、感情を“理由”とセットで考えることです。
たとえば
「主人公は戸惑った」
と読み取ったなら、
その直前の行動やセリフから根拠を探します。
-
表情が描写されているか
-
行動が変化しているか
-
心理描写があるか
-
前後の出来事と因果関係があるか
「理由のない感情読み取り」はすべてNG
というルールを徹底しましょう。
◆2.登場人物の視点を“カメラ目線”で読む
感情移入の原因は、「その人物の立場で読む」ことにあります。
そうではなく、
登場人物の行動を“外側から観察する視点”で読む
ことを意識するとミスが減ります。
いわば
「主人公の気持ちを読む」のではなく、
「主人公の気持ちがどう描写されているかを見る」
というスタンスです。
これは評論文で筆者の主張を「観察する」のと同じ読解方法です。
◆3.選択肢は必ず“本文から段階的に消去していく”
小説問題の選択肢は、
・本文に書かれていない推測
・感情的に寄せた表現
・部分的にあっているが主旨がズレる
などが頻出します。
正しい選択肢は、必ず本文の“複数箇所”と整合します。
感情だけで読むと、
「なんとなくこの選択肢が自分の感じたことと近い」
という理由で誤った選択肢を選びがち。
本文と照らし合わせて、
・どの描写と一致するのか
・どの表現がズレているのか
を確認しながら消去していくことで、正答率が劇的に上がります。
■具体的な読み方:小説は「3つの視点」で読む
感情移入しすぎないためには、「読解の基準」を固定しておくことが大切です。
そのための最も効果的な方法が、
“3つの視点”で人物の変化を追う
読み方です。
① 行動の変化
主人公は何をしたか?
行動の前後で何が違うか?
人の気持ちは行動に表れます。
② 心理の変化(描写されているものに限る)
心の揺れ動きがどこに書かれているか?
語彙・比喩・地の文に注目。
③ 状況の変化
誰が来た
何が起きた
どんな場面になった
という客観的変化。
この3つがそろったとき、初めて「気持ち」が読み取れます。
逆に言えば、
この3つの視点の裏付けがない“気持ちの読み取り”はすべて誤読の可能性がある
ということです。
■トレーニング法:感情移入を防ぐ読解練習
感情移入を防ぐためには、読み方の“癖”を変える必要があります。
次のトレーニングを繰り返すと、数週間で読み方が改善されます。
◆1.小説本文を「淡々とアナウンサー読み」する
受験生に最も効果的なのが、この方法。
物語に入り込むのではなく、
ニュースを読むように淡々と読むと、
感情移入のクセが薄れ、客観的に読めるようになります。
◆2.心理描写に線を引く(“根拠の見える化”)
本文に心理描写が出てきたら、必ず線を引く。
そして、
「この感情はどの行動(状況)から生じたか?」
を横にメモする。
この作業が“根拠を探す癖”を身につける最大の効果があります。
◆3.選択肢を先に読まない
選択肢を先に読むと、
無意識に“悲しそう”などのイメージを植え付けられ感情的判断をしやすくなります。
本文 → 設問 → 選択肢
この順で読み進めることで、客観的な読解ができます。
◆4.同じ小説を「二度読み」してみる
一度目は普通に読む
二度目は客観視点で読む
という方法です。
二度目の読みで
・行動
・心理
・状況
が具体的に理解でき、選択肢を判断する根拠が安定します。
■共通テスト小説問題で安定して8割以上取るためのポイント
最後に、小説問題で確実に点数を取るための総まとめを提示します。
◇1.感情ではなく描写を信じる
読み取りの根拠はすべて本文にある。
自分の感情は一切使わない。
◇2.「行動・心理・状況」の三本柱で読む
感情はこの三つの変化からしか導くべきではない。
◇3.選択肢は“本文に近いもの”ではなく“本文と一致するもの”を選ぶ
似ているだけの選択肢には注意。
◇4.曖昧な読み方を避けるため、必ず根拠を書き出す
本文中のどの描写に基づいた解釈かを明確にする。
◇5.物語に入り込みすぎない読書習慣をつける
「感情を入れない読み」を習慣化すれば、小説問題は安定します。
■まとめ
小説は感情的に読みやすい分、受験生が“自分の感情”で判断してしまい、
共通テスト本番で失点する原因になりがちです。
しかし、
「気持ち=描写+理由」
というルールを軸に読み、
行動・心理・状況の三つの視点から根拠を積み重ねて判断する
読み方を習慣化すれば、小説問題は確実に得点源になります。
感情移入を避け、客観視点で読めるようになれば、
選択肢の正答率が安定し、現代文全体の点数も上向きます。


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