現代文が苦手な生徒の多くが抱える悩みは、「文章の言っていることがよくわからない」「読みながら話が飛んでいるように感じる」というものです。
しかし、多くの文章は“流れが複雑だから読みにくい”のではありません。
本質はただ一つ。
「具体 → 抽象」「抽象 → 具体」の往復が読めていないこと。
これが見抜ければ、共通テスト現代文はもちろん、記述式の入試でも安定して高得点が狙えます。
現代文に必要なのは語彙力でも暗記でもなく、「文章の構造をつかむ力」です。そしてその最重要スキルが、「具体と抽象の対応関係を読む」ことです。
この記事では、その仕組みと練習法を詳しく解説していきます。
■ 現代文は「具体と抽象」でしか書かれていない
どんな評論文でも、内容は必ず以下のどちらかで構成されています。
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抽象的な主張(一般論・筆者の考え)
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具体例(具体的な事例・エピソード・データ)
そして、多くの文章は次のような流れで構成されています。
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筆者が言いたい抽象的主張
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その主張を説明するための具体例
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具体例から導かれる再び抽象的なまとめ
-
さらに新しい抽象論
-
その説明のための具体例
この「抽象 → 具体 → 抽象」の繰り返しこそが現代文の文章構造です。
裏を返せば、
文章のどこが「抽象」で、どこが「具体」なのかを仕分けられるだけで、読解の8割は終わっている。
具体がいくら長くても、抽象の言い換えでしかないため、ポイントが自然と整理されます。
■ “抽象”とは何か?共通テストで頻出の3タイプを知る
抽象文にはいくつかの種類がありますが、共通テストに頻繁に出てくるのは次の3つです。
◎① 一般論(普遍的な考え)
多くの人に当てはまる考え方や概念の説明。
例:
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「人間は環境によって思考が変化する」
-
「文化は社会的な相互作用によって形成される」
文章の主題は大抵ここにあります。
◎② 筆者の主張・立場
「〜であるべきだ」「〜と考える」といった、筆者の態度が示される部分。
ここを捉え損なうと、選択肢問題で誤答が増えます。
◎③ 用語の定義(もっとも重要)
評論文では「概念」を定義することが非常に多い。
例:
-
「〇〇とは〜である」
-
「ここでいう△△とは〜だ」
概念の定義は、その後の文章を理解する“鍵”なので、必ず線を引いておくべきポイントです。
■ “具体”とは何か?文章の「枝葉部分」を見抜く
具体例は文章を理解しやすくする補助的な情報です。
特徴は以下の通り。
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個別のエピソード(例:ある企業の話)
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固有名詞(例:アメリカの研究者A氏)
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データ・統計
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日常的な出来事(家庭・学校での例)
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動物や道具を使った比喩
これらは“内容は違っても、伝えているポイントは抽象の説明”という点で共通しています。
文章全体を読むときは、具体例に引きずられないことが重要です。
■ 共通テストの正答率を大幅に上げる読み方
具体と抽象を扱えるようになると、現代文は驚くほど読みやすくなります。
以下は「共通テスト型の読み方」の手順です。
▼ステップ1:最初の段落で“抽象の主題”をつかむ
評論文の最初には、ほぼ必ず主題の種が書かれています。
ここを読み逃すと、文章全体の理解がズレます。
ポイント:
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主語が「人間」「社会」「文化」など広い
-
述語が「〜である」「〜と言える」など一般化している
→ 抽象の主張である可能性大
▼ステップ2:具体が出てきたら「説明されている抽象は何?」を探す
具体例が書かれていると、人はつい例そのものに意識を奪われます。
これは現代文を苦手にする最大の原因です。
具体が出た瞬間に確認すべきは次の1点だけ。
「この具体は“何の説明”なのか?」
これだけを考えれば、迷うことは激減します。
▼ステップ3:抽象→具体→抽象の往復で理解が深まる
具体例の後には必ず「ポイントの結論(抽象)」が来ます。
ここが解答の根拠になります。
文章の中で、
-
具体(事例)
-
抽象(結論)
を矢印でつなぐように読むことで、話の流れを頭の中で整理できます。
■ 選択肢問題の正解率を99%まで上げる“抽象判断”のコツ
共通テストの間違いのほとんどは、
「具体例の内容に寄せられている選択肢を選んでしまう」
ことによるものです。
正しい選択肢を選ぶためには、以下のルールを徹底します。
◎① 選択肢は“抽象の結論”に一致するかだけで判断する
選択肢が具体例に似ていても、それはだいたい誤りです。
なぜなら、筆者が伝えたいのは具体ではなく“抽象”だからです。
判断の基準は、
「筆者の抽象的主張(まとめ部分)と一致しているか」
のみです。
◎② 「抽象の言い換え」能力が得点を決める
共通テストは直接的な表現よりも、言い換えを多数使います。
例:
文章:
「人は環境によって思考が方向づけられる」
選択肢の正答:
「個人の認識は周囲の条件の影響を不可避的に受ける」
このように、難しい語彙に置き換えられるケースがほとんど。
これを“抽象として同じ意味か”で判断できれば強い。
◎③ 誤った選択肢は「論理の飛躍」「抽象のズレ」で作られている
共通テストは、
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具体例だけを拾った選択肢
-
抽象の一部だけを強調したズレた選択肢
-
筆者が言っていない極端な一般化
で誤答をつくります。
これらはすべて“抽象部分を正確につかめていない受験生”が引っかかるように作られています。
だからこそ、抽象判断ができるだけで正答率が劇的に上がります。
■ 具体と抽象の力を鍛える最強の勉強法
ここからは、家庭学習で実践できるトレーニング法を紹介します。
これは現代文指導で最も効果が高い方法で、実際に偏差値40台から65〜70まで伸ばす生徒が続出します。
▼練習① 本文を「具体/抽象」に色分けする
まずは文章を印刷し、色ペンで分類する方法です。
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抽象文 → 青
-
具体文 → オレンジ
これだけで文章の構造が目に見えて整理されます。
何度もやると「文章とはこういう構造で書かれるもの」という感覚が身に付きます。
▼練習② 段落ごとに「抽象の要点」を20字以内でまとめる
抽象文を短く要約できれば、選択肢問題でもブレなくなります。
例:
-
「著者は、個人の判断が環境に左右されることを指摘」
-
「文化的背景が価値観を規定するという主張を展開」
「抽象の骨格」を抜き出す力は、すべての現代文の土台です。
▼練習③ 具体例の後に必ず“抽象の結論”を探す
「具体例がきた→次は必ず抽象がくる」
このパターンを知るだけで、文章が驚くほど読みやすくなります。
抽象の結論には次のような合図があります。
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「つまり」
-
「したがって」
-
「要するに」
-
「このように」
-
「ここからわかるように」
これらの後ろは必ず重要。
▼練習④ 過去問は「解説を見る前に抽象を探す」
過去問を解くとき、すぐに解説を読むのではなく、
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本文中の抽象主張
-
それに対応する選択肢
を自力で探す癖をつけると、共通テストのロジックに慣れるのが早くなります。
■ まとめ:「具体と抽象」がわかれば現代文は武器になる
現代文は暗記科目ではありません。
文章を構造的に理解すれば、誰でも安定して点数が取れるようになります。
今回紹介したポイントをまとめると以下の通りです。
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現代文は「抽象→具体→抽象」の往復でできている
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文章の本質は“抽象部分”にある
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選択肢は抽象主張と一致しているかで判断する
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具体はあくまで補助。惑わされない
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トレーニングは「具体/抽象の仕分け」から始める
これを継続すれば、共通テストで9割を狙える読解の軸が身につきます。


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