【共通テスト現代文】「なんとなく読める」から脱却するための精読トレーニング

現代文の勉強法

「現代文の点数が安定しない」 「解説を読めば納得できるのに、自力では正解に辿り着けない」 「なんとなく雰囲気で選んだ選択肢が、ことごとく外れてしまう」

共通テストを控える多くの受験生が直面するのが、この「なんとなく読解」の壁です。日本語であるがゆえに、読んだつもりにはなれる。しかし、設問になると途端に根拠が曖昧になる。この状態のまま過去問を解き続けても、得点力の底上げは期待できません。

共通テストの現代文で求められているのは、単なる速読力ではなく、本文に書かれた論理構造を正確にトレースする「精読力」です。

この記事では、感覚に頼る読解から卒業し、記述レベルの正確さで文章を読み解くための「精読トレーニング」の具体的なステップを徹底解説します。


1. なぜ「なんとなく読解」は共通テストで通用しないのか

共通テストの選択肢は非常に巧妙に作られています。本文の一部を抜き出しつつ、因果関係を入れ替えたり、微妙にニュアンスの異なる言葉を混ぜたりして、受験生の「主観」や「思い込み」を誘います。

「主観」という最大の敵

私たちは日常生活において、相手の言葉を自分の経験や常識に照らし合わせて解釈しています。しかし、現代文の試験においてあなたの常識は不要です。必要なのは「筆者の論理」だけです。「なんとなく」で読む人は、無意識のうちに自分の意見を本文に混ぜ込んでしまうため、作成者の仕掛けた罠に自ら飛び込んでしまうのです。

「速読」への誤解

「時間が足りないから速く読まなければ」という焦りが、精読を妨げます。しかし、急いで読んで内容が頭に残らず、何度も読み返す(戻り読みする)ことこそが最大のタイムロスです。急がば回れ。一度の通読で論理構造を掴みきる精読力こそが、結果として最短のスピードを生みます。


2. 脱・なんとなく!精読を支える「3つの可視化」

文章を精読するとは、脳内で論理の設計図を描く作業です。そのために、まずはペンを動かして文章を「可視化」することから始めましょう。

① 接続詞の役割を記号化する

接続詞は、文章の「交通標識」です。これを無視して進むのは、標識を見ずに高速道路を走るようなものです。

  • 逆接(しかし・だが): 筆者の主張が後ろに来ることが多いため「▼」でマーク。

  • 言い換え・等価(つまり・すなわち): 内容が整理される重要ポイントとして「=」でマーク。

  • 因果(なぜなら・したがって): 理由と結果を繋ぐ「→」でマーク。 これらを機械的にマークするだけで、文章の「起伏」が驚くほど明確に見えてきます。

② 指示語の「中身」を常に特定する

「これ」「そのこと」といった指示語を流し読みしていませんか? 精読トレーニングでは、指示語が出てくるたびに「具体的に何を指しているか」を指差し確認し、必要であれば余白に書き込みます。指示語の特定は、文と文の繋がり(コヒーレンス)を確認する最も基本的な作業です。ここを疎かにするから、段落の途中で話の筋道を見失うのです。

③ 対比構造を「左右」に分ける

評論文の多くは「A(批判対象)とB(筆者の主張)」の対比で構成されています。 例えば「近代の合理主義(A)」と「野生の思考(B)」といった具合です。本文を読みながら、今語られている単語がAグループなのかBグループなのかを判別し、それぞれを色分けしたり、四角と丸で囲ったりします。共通テストの正解の選択肢は、この対比の軸を正確に捉えているものがほとんどです。


3. 実戦トレーニング:1段落を「要約」して「再現」する

精読力を一気に引き上げる、具体的かつ強力なトレーニング法をご紹介します。

ステップ1:3行要約トレーニング

大問一つを解く必要はありません。まずは1つの段落、あるいは1つの意味段落(複数の段落のまとまり)を読み、その内容を「30文字〜50文字」で要約します。 「誰が・何に対して・どのような主張をしているか」を抽出する作業は、文章の骨組みを抜き出す訓練になります。

ステップ2:パラグラフ・メモの習慣化

一段落読み終わるごとに、余白にその段落の役割をメモします。「具体例1」「前の内容への反論」「結論の補足」など。 これを書くことで、文章を「線」ではなく「構造(ブロックの積み重ね)」として捉える感覚が養われます。

ステップ3:白文への「復元」テスト

一度精読した文章を、何も書き込んでいない新しいコピー(白文)で読み直します。自分が書き込んだ接続詞の記号や対比の図が、頭の中で浮かび上がるようになれば合格です。


4. 保護者の方へ:現代文は「論理というスキルの習得」です

「うちの子は本を読まないから現代文ができない」 これは半分正解で、半分間違いです。読書量は確かに語彙力に影響しますが、受験現代文はむしろ「論理パズル」に近いものです。

保護者の方にできるサポートは、お子様の点数に一喜一憂するのではなく、**「どうしてその答えを選んだの? 根拠はどこにある?」**と、優しく問いかけてあげることです。 「なんとなく」ではなく、「本文の3行目にこう書いてあるから」と言葉で説明させる機会を作ってください。説明しようとすることは、自分の思考を論理的に整理する最高の精読トレーニングになります。


5. まとめ:精読が「確信」という武器をくれる

「なんとなく読める」状態から「根拠を持って解ける」状態へ。

  1. 接続詞をマークし、論理の起伏を掴む。

  2. 指示語の中身をサボらず特定する。

  3. 対比構造を整理し、筆者の立ち位置を明確にする。

このステップを愚直に繰り返すことで、共通テストの選択肢を眺めたとき、「これしかない」という確信を持って正解を選べるようになります。精読力は、試験本番の極限の緊張感の中で、あなたを支える唯一の揺るぎない武器となります。

 

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