「小論文の書き方はわかったけれど、書く中身(ネタ)が全く思い浮かばない」 「自分の知識だけで書こうとすると、内容が薄くなってしまう」 「ニュースサイトを眺めているけれど、それがどう試験に役立つのかわからない」
小論文の対策を始めた受験生が、最初に行き詰まるのが「知識のインプット」です。小論文は作文ではありません。与えられたテーマに対し、客観的な事実や論理的な背景に基づいて自分の意見を構築する「学問的な対話」です。つまり、どれだけ優れた文章術を持っていても、その土台となる「リサーチ(調査・知識)」が不足していれば、説得力のある答案は書けません。
しかし、闇雲に新聞を読んだりネットを検索したりするだけでは、試験で使える知識にはなりません。この記事では、限られた時間の中で合格レベルの「書くネタ」を蓄えるための、戦略的なリサーチの進め方を徹底解説します。
1. なぜ小論文に「リサーチ」が必要なのか
小論文の採点官が見ているのは、あなたの「感想」ではなく、「課題に対する多角的な視点」と「論理的根拠」です。
「独りよがり」な意見を防ぐ
リサーチをせずに書くと、どうしても「私はこう思う」という主観に頼りがちになります。しかし、社会問題には必ずと言っていいほど「対立する意見」や「複雑な歴史的背景」が存在します。リサーチを通じてこれらを知ることで、多角的な視点を持った、奥行きのある答案が書けるようになります。
「説得力のある具体例」を武器にする
「環境問題は深刻だ」と述べるだけでは不十分です。「具体的にどの地域で、どのような数値のデータがあり、現在どのような対策が国際的に取られているのか」という事実(ファクト)を提示できて初めて、あなたの主張に説得力が宿ります。
2. 効率的なリサーチの「3ステップ」
受験生に与えられた時間は限られています。効率よく知識を「自分のもの」にするための手順を紹介します。
ステップ1:志望学部の「頻出テーマ」を特定する
まずは敵を知ることです。過去問をチェックし、志望学部でどのようなテーマが出されているかを確認します。
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法学部: 死刑制度、プライバシー権、SNSの法的規制など
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経済学部: 格差社会、ベーシックインカム、グローバル化の是非など
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看護・医学部: 尊厳死、地域医療、インフォームド・コンセントなど すべてのニュースを追うのではなく、まずは自分の戦場に関わる「5〜10個のキーワード」に絞り込みます。
ステップ2:情報の「信頼性」を精査する
ネット検索は便利ですが、個人のブログや信憑性の低いSNSの情報は避けましょう。
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公的機関のサイト: 厚生労働省、文部科学省などの「白書」は情報の宝庫です。現状と課題が整理されており、これ以上に信頼できるソースはありません。
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新聞の「社説」・「解説委員のコラム」: 一つの事象に対して、論理的な「主張」がセットになっています。論理構成の勉強にもなり一石二鳥です。
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新書・専門誌: あるテーマについて深く知りたい場合は、その分野の第一人者が書いた新書を一冊読むのが最も効率的です。
ステップ3:知識を「小論文の型」でストックする
調べた内容をただメモするのではなく、以下の4項目に整理して「リサーチノート」にまとめます。
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現状(何が起きているか): 具体的なデータや事実
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課題(なぜ問題なのか): どのような対立や弊害があるか
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異なる視点(反対意見): 逆の立場からはどう見えるか
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自分の考え: リサーチを経て、自分はどう考えるか
3. リサーチを「使える知識」に変えるアウトプット術
インプットしただけでは、試験本番で筆は進みません。知識を使える状態にまで磨き上げましょう。
「もしも〜なら」のシミュレーション
リサーチした知識を使って、頭の中で「もしも〜というテーマが出たら、この具体例を使おう」とシミュレーションを繰り返します。知識を「単なる情報」から「自分の武器」へと変換する作業です。
キーワードを自分の言葉で定義する
「AIの進化」について調べたなら、それを「AIとは人間が行う知的作業を模倣する技術のことだ」と、誰にでもわかる言葉で定義できるまで理解を深めます。用語の定義が明確になると、文章の導入部分が驚くほど書きやすくなります。
4. 保護者の方へ:リサーチを「日常の会話」で支える
お子様が小論文のリサーチをしているとき、それは社会の複雑さに初めて真剣に向き合っている瞬間です。
保護者の方にできるサポートは、「情報の壁打ち相手」になってあげることです。 「今日調べたことについて、3分で教えてくれる?」と頼んでみてください。お子様が学んだことを誰かに説明しようとするとき、知識の定着率は飛躍的に高まります。 また、夕食のニュースを見ながら「お父さん(お母さん)はこう思うけど、反対の意見もありそうだね」と、あえて異なる視点を提供してあげることも、多角的な思考を養う素晴らしいリサーチ支援になります。
5. まとめ:リサーチは「書く勇気」をくれる
小論文が書けないのは、文章力がないからではなく、書くべき「材料」が足りないからです。
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志望学部に合わせて、リサーチの範囲を戦略的に絞る。
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公的資料や信頼できる媒体を使い、多角的な視点(事実・背景・対立軸)を蓄える。
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調べた内容を「リサーチノート」に整理し、自分の言葉でアウトプットする練習をする。
徹底的なリサーチは、あなたに「根拠に基づいた自信」を与えてくれます。本番でどんな変化球のテーマが来ても、蓄えた知識の引き出しを組み合わせることで、必ず自分だけの答えを導き出せるようになります。リサーチを楽しみ、知的な好奇心を持って社会を眺めることから、あなたの合格への道は始まっています。
ハートフルの個別授業では、単に文章の添削を行うだけでなく、志望校の傾向に合わせた「リサーチすべきテーマ」の選定や、信頼できる資料の読み解き方をマンツーマンで指導しています。


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