【漢文】これだけで句法が身につく!書き出し練習におすすめの重要例文10選

漢文の勉強法

「漢文の勉強を始めたけれど、どこから手をつければいいのかわからない」 「句法の参考書を読んでも、実際にどう書き下せばいいのか迷ってしまう」

漢文は、英語や数学に比べて学習すべき事項が圧倒的に少ない「超・高効率科目」です。しかし、その学習において多くの受験生が陥る罠があります。それは、句法を「文字情報の羅列」として暗記しようとすることです。

漢文を攻略する最短ルートは、「核心となる例文を、リズムを伴った『書き下し文』として身体に染み込ませること」にあります。

この記事では、大学受験や高校入試で必須となる重要句法を網羅した、練習に最適な例文10選を厳選しました。これらを完璧に書き下せるようになれば、初見の文章でも論理構造が瞬時に浮かび上がるようになります。


1. 漢文攻略の第一歩:なぜ「書き下し」が重要なのか?

漢文の試験において、書き下し問題は直接配点されるだけでなく、読解力の基礎となります。

脳内に「日本語の回路」を作る

漢文はもともと中国の古典ですが、日本の受験における漢文は「訓読」という特殊なルールに基づいています。書き下し文を作る練習は、返り点や送り仮名という記号を、意味の通じる日本語の語順に再構築する作業です。この回路が脳内に出来上がると、視線が文を走るだけで、意識せずとも意味が飛び込んでくるようになります。

「形」で覚える句法の魔力

「使役」や「受身」といった句法は、特定の漢字の配置(形)によって決まります。例文を丸ごと暗記することで、理屈で考える前に「この形なら、こう読むはずだ」という直感が働くようになります。


2. 厳選!書き下し練習におすすめの重要例文10選

それでは、入試頻出の重要句法を含む例文を見ていきましょう。白文から書き下し文を作るイメージで取り組んでください。

① 否定の基本(不)

例文:人不知而不慍。 (人知らずして慍(いか)らず。)

  • 解説: 最も基本的な「不レ〜(〜ず)」の形です。下に送り仮名の「ず」を伴い、動作の打ち消しを表します。「知らずして(知らないけれど)」という逆接の接続助詞「して」の使い方もセットで覚えましょう。

② 再読文字の王道(未)

例文:未知生、焉知死。 (いまだ生を知らず、いづくんぞ死を知らん。)

  • 解説: 「未レ〜(いまだ〜ず)」は超頻出の再読文字です。一度目は「いまだ」と読み、二度目は「ず」と読みます。一つの字を二度読むリズムを身体に叩き込みましょう。

③ 強い肯定の二重否定(無不)

例文:無不為也。 (なさざるなきなり。)

  • 解説: 「無レ不レ〜(〜ざるなきなり)」は「〜しないものはない」、つまり「すべて〜する」という強い肯定を表します。書き下し文での「〜ざる(打ち消し)」+「〜なき(存在の否定)」の重なりを正確に再現しましょう。

④ 使役の基本(使)

例文:使人先。 (人をして先んぜしむ。)

  • 解説: 「使レAB(AをしてBせしむ)」の形です。対象となる「人」に「して」を補い、動詞の末尾に「しむ」を付けます。人間関係のパワーバランスを読み解く鍵となる句法です。

⑤ 受身の重要形(為〜所)

例文:為蛇所齧。 (蛇の齧(か)む所と為(な)る。)

  • 解説: 受身の「〜される」を表す「為レA所レB」の形です。「AにBされる」と訳しますが、書き下しでは「AのBする所と為る」となる独特のリズムに注意が必要です。

⑥ 疑問・反語(何)

例文:何以利吾国。 (何を以(もつ)てか吾(わ)が国を利せん。)

  • 解説: 「何以〜(何を以てか〜)」は「どうやって/何を手段として」と問う疑問文です。文末の送り仮名が連体形+「か」で終わる点に注目してください。

⑦ 反語の強調(庸)

例文:庸何難。 (いづくんぞ何ぞ難(かた)からん。)

  • 解説: 「庸〜(いづくんぞ〜ん)」は反語の代表格です。「どうして〜だろうか(いや、〜ない)」と訳します。文末が「〜ん」と推量の形で終わるのが反語の目印です。

⑧ 比較の形(不如)

例文:百聞不如一見。 (百聞は一見に如(し)かず。)

  • 解説: 「A不如B(AはBに如かず)」は「AはBに及ばない」という比較を表します。有名な故事成語ですが、書き下しの際の「に」と「ず」の配置を意識しましょう。

⑨ 限定の句法(只)

例文:只在言中。 (ただ言中に在(あ)り。)

  • 解説: 「只〜(ただ〜のみ)」の限定です。文末に「のみ」を補う場合が多いですが、「ただ〜だけだ」という排他的なニュアンスを掴むことが読解では重要です。

⑩ 願望の表現(唯)

例文:唯願無事。 (ただ無事ならんことを願ふ。)

  • 解説: 「唯(ただ)〜」に願望の動詞を組み合わせる形です。自分の望みを強く伝える文脈で使われます。


3. 効果的な「書き下しトレーニング」の進め方

例文をただ眺めるだけでは不十分です。以下の3ステップでトレーニングを行いましょう。

  1. 書き写し(トレース): 最初は正解の書き下し文をそのままノートに写します。この際、返り点と漢字の動きを意識します。

  2. 白文からの再現: 返り点と送り仮名だけの白文を見て、何も見ずに書き下し文を書いてみます。

  3. 音読(素読): 出来上がった書き下し文を3回音読します。漢文は「音」で覚えるのが最も忘れにくい方法です。


4. 保護者の方へ:漢文は「最小の努力で最大の成果」を出す科目です

お子様が英語や数学の勉強で手一杯になっているとき、漢文の学習は「負担」に感じられるかもしれません。

しかし、漢文は主要句法と重要語彙を合わせても100項目程度しかありません。保護者の方に知っていただきたいのは、漢文は「短期間で得点源に変えられる武器」であるということです。 今回紹介したような短い例文を、1日1つずつ一緒に音読してみるだけで、お子様の漢文に対する苦手意識は驚くほど解消されます。「この例文、どういう意味?」と問いかけることが、お子様の論理的思考力を養うきっかけになります。


5. まとめ:例文があなたの「読解の定規」になる

漢文の勉強に迷ったら、まずはこの10の例文を完璧に「書き下せる」ようにしてください。

  1. 否定、再読、使役、受身の「形」を視覚的に覚える。

  2. 書き下し文を「音」として記憶に定着させる。

  3. 白文を見て、反射的に読みが浮かぶまで繰り返す。

これら10の例文は、暗闇を照らす灯台のようなものです。これらが基準(定規)として脳内にセットされれば、長文問題に出会った際も、複雑な文構造を瞬時に分解できるようになります。

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