【漢文】漢文の重要句形を実戦で覚えるトレーニング
漢文の勉強法「漢文は漢字の羅列で、何を言っているのかさっぱり分からない」 「句形を暗記したはずなのに、模試の初見問題になると全く太刀打ちできない」
多くの受験生にとって、漢文は「後回し」にされがちな科目です。しかし、実はこれほど短期間で得点を伸ばせる科目は他にありません。漢文攻略の核心は、単なる漢字の暗記ではなく、文の構造を決定づける「句形」をいかに使いこなせるかにあります。
句形を覚えることは、英語でいう「文法・構文」をマスターすることと同じです。そして、その最短の学習法は、教科書の例文を眺めることではなく、**「実戦的な例文の中で、返り点や送り仮名とともにリズムで叩き込む」**ことにあります。
この記事では、入試に直結する重要句形を厳選し、それらを「自分の武器」にするためのトレーニング法を徹底解説します。
1. なぜ「句形」が漢文読解の命なのか
漢文には、特定の漢字が組み合わさることで「否定」「疑問」「反語」「受身」「使役」といった特別な意味を持つルールが存在します。これが「句形」です。
句形は「文の方向性」を決める
例えば、同じ「不」という漢字を使っていても、それが単なる否定なのか、あるいは「不レ敢(あへて〜せず:決して〜しない)」という強い意志を伴うものなのかによって、物語のニュアンスは180度変わります。句形を知っているだけで、文全体の意味が瞬時に立ち上がってくるのです。
書き下し文問題は「句形の形」で決まる
共通テストや二次試験で必ずと言っていいほど出題されるのが、書き下し文や現代語訳の問題です。これらは「句形の決まり通りに訳せているか」をチェックしているに過ぎません。つまり、句形をマスターすることは、設問に対する「解答のテンプレート」を手に入れることと同義なのです。
2. 厳選!入試頻出の重要句形トレーニング
入試で最も狙われる句形を、その「見極めポイント」とともに整理しましょう。
① 反語(最も差がつく句形)
「単なる疑問」か「強い否定(反語)」かを見分ける力は、漢文読解の最重要スキルです。
-
基本形: 「何(いづくん)ぞ〜(セ)ン[未然形+助動詞「ん」]」
-
意味: どうして〜だろうか。(いや、〜ない。)
-
トレーニング: 文末が「ン」で終わり、文頭に「何」「安」「豈」などがあれば、まずは反語を疑います。単に「どうして?」と訳すのではなく、「そんなはずはない」という筆者の強い主張を感じ取ることがポイントです。
② 二重否定(強調を見抜く)
否定の言葉を二回重ねることで、強い肯定を表す表現です。
-
基本形: 「不レ不(〜ざるにあらず)」、「無レ不(〜ざるはなし)」
-
意味: 〜しないわけではない(=必ず〜する)、〜しないものはない(=すべて〜する)。
-
トレーニング: 視覚的に「不」や「無」が二つ並んでいるのを見つけたら、すぐに「強い肯定」に脳内変換します。特に「未レ嘗(いまだかつて〜せず)」と組み合わさった形などは、物語のクライマックスでよく使われます。
③ 使役と受身(主従関係を特定する)
誰が誰に「させる」のか、あるいは「される」のか。ここを間違えると主語を見失います。
-
使役: 「使レA(をして)B(セ)シム」
-
受身: 「見レ〜」「為レA所レB(AのBする所となる)」
-
トレーニング: 「使」の字を見たら、その下の「Aをして」という送り仮名をセットで思い出します。また、受身の「為レA所レB」は、英語の受動態(by…)と同じ構造として理解すると定着が早くなります。
3. 「音読」と「手書き」による最強の習得法
句形を「知識」から「能力」に変えるための具体的なトレーニング手順です。
ステップ1:白文に「返り点」と「送り仮名」を振る
句形を覚えたら、何も書かれていない白文(漢字だけの文)に対して、自分で返り点と送り仮名を書き込む練習をします。自分の手で再現できるようになることが、定着への第一歩です。
ステップ2:句形のリズムを口に馴染ませる
「安(いづくん)ぞ〜(セ)ンや」「不レ敢(あへて)〜(セ)ず」といったフレーズを、何度も声に出して読みます。漢文はもともとリズムの良い言語です。理屈で考える前に、耳と口が「この形なら、次はこうくるはずだ」と反応するまで音読を繰り返してください。
ステップ3:短文から長文への橋渡し
句形単体で覚えるのではなく、30〜50文字程度の短いエピソードの中で句形がどう使われているかを確認します。一語多義の漢字と同様に、句形も文脈の中でこそ生きた意味を持ちます。
4. 保護者の方へ:漢文は「努力が報われやすい」科目です
お子様が受験勉強の負担に押しつぶされそうな時、漢文は「心の支え」になる可能性を秘めています。
保護者の方にできるサポートは、**「漢文は一番コスパが良い科目らしいよ」**と前向きなアドバイスをしてあげることです。 英語や現代文は、偏差値を5上げるのに数ヶ月かかることもありますが、漢文は主要な句形を20〜30個マスターするだけで、模試の点数が一気に10点、20点と跳ね上がることが珍しくありません。この「短期間での成功体験」がお子様の自信に繋がり、他の科目への意欲も引き出す相乗効果を生みます。
5. まとめ:句形という「公式」を使いこなせ
漢文の重要句形をマスターすることは、数学の公式を覚えるのと似ています。
-
反語・否定・使役など、入試の「型」をパターンとして認識する。
-
白文からの再現トレーニングで、送り仮名まで完璧にする。
-
音読を通じて、脳内に漢文特有のリズムを構築する。
句形が自分のものになれば、漢字の羅列だった漢文が、筆者の情熱や論理が詰まった「生きた言葉」として語りかけてくるようになります。漢文を単なる暗記科目として切り捨てるのではなく、戦略的に「高得点を奪いに行く科目」に変えていきましょう。
ハートフルの個別授業では、単に句形を暗記させるのではなく、実際の入試問題の中でその句形が「どうしてその意味になるのか」を納得感を持って理解させ、初見の問題でも迷わずに書き下せるようになるまで、マンツーマンで徹底的にトレーニングを行っています。


コメント