共通テストの現代文は、「なんとなく読めた気がするのに正解できない」という悩みを持つ生徒が非常に多い科目です。
特に模試や本番で点数が安定しない人ほど、「根拠を持たずに感覚で選んでいる」傾向があります。
現代文で得点を安定させるために必要なのは、「読解センス」ではなく、文章内の根拠をもとに選択肢を判断する習慣です。
今回は、共通テスト現代文における「根拠を持った読解」を身につけるための具体的な訓練法を紹介します。
1.「根拠を持った読解」とは何か?
現代文の問題は、「筆者の主張」「理由」「対比」「具体例」「心情」など、すべて本文に根拠があります。
しかし、多くの受験生は設問を読むときに「感覚でそれっぽいものを選ぶ」だけになりがちです。
たとえば、次のような問題文を考えてみましょう。
筆者が述べる「他者との関係における自由」とは、どのようなことか。
このとき、本文に「自由」という言葉が出てきたら、「あ、これだ!」と飛びついてしまう人が多いのですが、
実際はその周辺に「筆者がどう定義しているか」「他の自由とどう区別しているか」という根拠が書かれています。
つまり、**根拠を持った読解とは、「本文中のどこに、どう書かれているかを説明できる読み方」**を指します。
感覚ではなく、本文中の具体的な言葉・接続関係・対比表現をもとに考えることが重要です。
2.共通テストで求められる「根拠力」
共通テストの現代文は、評論・小説ともに「本文の情報整理力」が問われます。
特に評論では、以下の3つの力がカギになります。
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論理構造を把握する力(接続語・対比・具体例の位置関係)
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本文の根拠を照合する力(設問と本文を一致させる)
-
選択肢を論理的に消去する力(本文とズレている選択肢を排除)
これらは「センス」ではなく、トレーニングで身につけることができます。
3.根拠読解力を伸ばす3ステップ訓練法
ここからは、誰でも実践できる3ステップトレーニングを紹介します。
この順番で練習することで、「感覚読解」から「根拠読解」へと確実に変わっていきます。
ステップ①:本文中に「根拠マーカー」を引く習慣をつける
まず最初に行うべきは、「設問の答えがありそうな場所に印をつける」習慣です。
たとえば、
Q. 筆者が「自立」という言葉を使う意図を最も適切に述べたものを選べ。
という問題なら、本文で「自立」という語が出てきた箇所に注目し、
-
その直後に「つまり」「すなわち」「このように」とあるか
-
「しかし」「一方で」などの逆接があるか
を確認します。
つまり、「キーワードが説明されている部分」に線を引く。これが根拠マーカーです。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、問題演習時に本文の該当箇所を目で追う練習を重ねることで、
「本文のどこに答えがあるか」を瞬時に判断できるようになります。
ステップ②:選択肢ごとに「本文根拠の有無」をチェックする
次に行うのは、選択肢の検証作業です。
根拠のある読解とは、選択肢の内容を「本文に書かれているかどうか」で判断すること。
各選択肢について、次の3分類をしてみましょう。
| 判定 | 内容 |
|---|---|
| ◎ | 本文に同じ意味・表現がある |
| △ | 本文の一部に似ているが、省略や誇張がある |
| × | 本文の内容と異なる、または書かれていない |
共通テストの選択肢は、△を「それっぽく」見せて受験生を迷わせる構造になっています。
だからこそ、本文に直接根拠がないもの(×や△)を即座に見抜くことが、得点安定の鍵なのです。
ステップ③:「根拠を説明できるか」を声に出して確認
最終ステップでは、「なぜこの選択肢が正しい(または間違い)と思うのか」を声に出して説明してみましょう。
たとえば、次のような形です。
「この選択肢が正しいのは、第3段落に『〇〇である』と書かれており、それが選択肢の内容と一致しているから」
こうして「根拠を言語化」することで、自分の思考を整理できます。
同時に、本文をどの程度理解していたかが明確になり、復習が格段にしやすくなります。
このトレーニングは、学校の授業や模試の解き直し時にも非常に有効です。
4.「根拠読解」を阻む3つの落とし穴
根拠を持った読解を意識しても、次の3つの罠にハマる生徒が少なくありません。
それぞれの対策もあわせて押さえておきましょう。
① キーワードの「部分一致」にだまされる
選択肢に本文と同じ単語があると、つい正解に見えます。
しかし、単語が同じでも文脈が違う場合は不正解。
たとえば本文が「自由とは他者との関係の中で制約を受けながら成立する」と述べているのに、
選択肢が「自由とは他者から制約を受けないことだ」と書かれていれば、真逆です。
→ 対策:「同じ語を含む=正しい」と思わない。文脈全体で判断する。
② 「筆者の主張」と「例」の区別がつかない
共通テストの評論文では、筆者の主張を説明するために「具体例」が出てきます。
しかし例は「主張の証明材料」であって、「主張そのもの」ではありません。
→ 対策:本文中で「筆者が主張している部分」(=まとめ・結論)に下線を引く。
「例」を根拠にすると、選択肢を誤って選びやすい。
③ 自分の意見を混ぜてしまう
現代文は、「自分ならどう思うか」ではなく、「筆者がどう考えているか」を読み取る科目です。
特に小説問題では、登場人物の気持ちを「共感」だけで判断してしまうミスが多いです。
→ 対策:「本文中に書かれている言葉」以外は判断材料にしない。
自分の感情や価値観は一度脇に置くこと。
5.おすすめの訓練教材・勉強法
根拠読解のトレーニングには、**「解説が丁寧な問題集」**を使うのが効果的です。
おすすめは以下のタイプの教材です。
-
『共通テスト過去問研究 現代文』(河合塾・駿台・東進など各社)
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『現代文ポラリス(入試現代文のトレーニング)』シリーズ
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『共通テスト現代文 読解の基礎完成』(Z会)
これらは、本文と設問の関係を「どの文が根拠か」を明示してくれているため、
本文中のどの表現を手がかりに選択肢を判断するかを学ぶのに最適です。
勉強の進め方としては、
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問題を解く
-
正解を確認する前に、「根拠は本文のどこか」を自分で特定する
-
解説を読んで答え合わせをし、「自分の根拠」と「正しい根拠」を比較する
この復習を繰り返すことで、読解力が安定して伸びていきます。
6.日常の読書でも「根拠意識」を育てる
現代文の力は、問題集だけでなく日常生活の中でも鍛えられます。
たとえば新聞コラムやニュース解説記事を読むときに、次のように意識してみてください。
-
筆者の主張はどこか?
-
その根拠として挙げている事例は何か?
-
主張と事例の関係は「因果」か「対比」か?
この習慣を続けると、どんな文章を読んでも「構造的に理解できる」ようになり、
結果的に現代文問題を読むスピードも上がります。
7.まとめ:根拠を持てば、現代文は「論理の科目」になる
共通テスト現代文は、「国語=感覚科目」と思われがちですが、
実際は論理的思考を問う科目です。
感覚や語感で読むのではなく、
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接続語
-
対比構造
-
筆者の意図
といった明確な「根拠」をつかむことが、安定した得点への最短ルートです。
最後に:今日から始められる根拠読解トレーニング
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本文中で答えの根拠を線で引く
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選択肢ごとに本文との一致度を◎△×で分類
-
根拠を声に出して説明してみる
この3つを繰り返せば、どんな文章でも「正解を導く筋道」を持てるようになります。
根拠を持った読解は、共通テスト現代文だけでなく、
大学入試の小論文・面接・志望理由書の作成など、あらゆる場面で役立つスキルです。
今日からぜひ、「根拠を言える読解」を意識して、練習を始めてみてください。


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