古文を苦手にする大きな理由のひとつに、「和歌が訳せない」「背景が分からない」「言葉の意味が取れない」というものがあります。特に大学入試では、和歌が本文に挿入されているだけで、文脈理解が止まってしまう受験生が少なくありません。しかし、和歌の意味を自分で導けるようになると、古文読解全体の理解度が大きく向上し、難関大の記述問題にも対応できる力が育ちます。
本記事では、和歌の意味を“辞書なしの段階でも”自力で推測・解釈できるようになるための練習法を、段階別に詳しく解説します。
■ なぜ和歌が難しいのか
和歌を読むとき、多くの受験生が抱える悩みは次の3つです。
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語彙が現代語とかけ離れすぎている
和歌は漢字が少なく、ひらがな中心で書かれるため、現代語との対応が見えにくい傾向があります。 -
文法が凝縮され、省略が多い
和歌は31音という短さの中に、心情・情景を詠む必要があります。そのため主語・述語が省略されることが多く、文脈に頼らざるを得ません。 -
背景知識がないと解釈しにくい
四季の表現、恋のモチーフ、自然描写など、当時の文化を前提にした表現が多いため、自分の感覚だけで意味をつかむのが難しいのです。
しかし、これらは「慣れ」と「手順」を身に付ければ必ず解決できます。
■ 和歌の意味を“自分で考える”ための基本姿勢
和歌に触れるときに最も大切なのは、「完璧な訳」を目指さないことです。大学入試では、和歌の意味を“本文との関係性の中で”理解できれば十分得点可能です。
意識すべき基本は以下の3つ。
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文脈の流れから、和歌のざっくりとした感情をつかむ
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古典で頻出する季語・語彙のストックを持つ
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和歌の構造パターンを把握する
これを前提に、練習法を具体的にまとめていきます。
■ ステップ①:文脈(和歌直前の本文)を必ず確認する
和歌単体で意味を考えるのではなく、必ず「直前の会話・状況」「心情の流れ」を先に押さえます。
和歌は“本文の流れを圧縮した表現”として登場するため、意味を本文に合わせて補っていくことが大切です。
● 文脈確認のコツ
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誰が誰に向けて詠んだか
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どんな感情になっているか
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どんな状況で詠んだか
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直前で何が問題になっているか
和歌の意味の7〜8割は、この文脈で決まると言ってよいほどです。
■ ステップ②:和歌の語彙を「知っている・知らない」で仕分けする
和歌を読んだら、まずは語句を次の3つに分類しましょう。
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知っている語彙
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何となく見たことのある語彙
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完全に知らない語彙
この仕分けを行うだけで、「自分が解釈できる範囲」と「補うべき部分」が明確になります。
● よく出る語彙のストックをつくっておく
たとえば
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春=別れ・出会い
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秋=物思い・訪れない人への嘆き
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夜=恋・孤独
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雨・涙=悲しみ
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月=恋心・寂しさ
こうした基本語彙を覚えておくだけで、知らない単語があったとしても意味の方向を見失うことがなくなります。
■ ステップ③:情景(見えるもの)と心情(気持ち)を分離して整理する
和歌の意味を考えるときは、次の2段階で進めると格段に読み取りやすくなります。
● ① 目に見える情景を拾う
例:
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花が散る
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雨が降る
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月が出ている
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遠くの山が見える
これらは情景描写として“そのまま”受け取ればOK。
● ② その情景が象徴する心情を推測する
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花が散る → 別れ / 切なさ
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月 → 恋心 / 思慕
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雨 → 涙 / 悲しみ
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山 → 人の心の隔たり
入試で大切なのは、**情景=感情のメタファー(象徴)**だということです。
■ ステップ④:和歌の「比喩」「対比」「省略」に慣れる
和歌は短いので、次の3つが頻出します。
● ① 直喩・隠喩の多用
「〜のようだ」と書かなくても、景色がそのまま心情に重なっている表現。
● ② 感情の対比構造
「自然は春になったのに、私は悲しい」
といった外界の変化 vs 自分の心の構造は特に多いです。
● ③ 主語・述語の省略
基本的には
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主語は本文の人物
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述語は「〜と思う」「〜と感じる」
などの心情動詞が省略されていると考えると読みやすくなります。
■ ステップ⑤:和歌を“5W1H”で再構成する
和歌は抽象的なので、意味を整理するためには次の視点で分解するのがおすすめです。
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誰が(Who)
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いつ(When)
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どこで(Where)
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何を(What)
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なぜ(Why)
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どのように(How)
この6つを本文から補いながら和歌に当てはめると、「本文との一致」が見えやすくなり、選択肢問題でも迷いにくくなります。
■ ステップ⑥:自分で“意訳”する練習をする
和歌を読んだら、まずは完璧な現代語訳を目指すのではなく、ざっくりとした意訳を自分で作ります。
例:「あなたに会いたくて仕方がない気持ちを、春の景色に重ねている」
例:「あなたの冷たい態度が、秋の冷たい風みたいに感じられる」
この段階では細かい文法の正確さよりも、
和歌が言おうとしている“方向性”をつかむことが大切です。
■ ステップ⑦:公式の訳や参考書の解説と比較する
自分で意訳したあとに、教科書や参考書の解説と照らし合わせます。
ポイントは、合っている部分だけでなく、間違っていた部分の理由を分析すること。
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どの語彙の意味を誤解したのか
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どの情景を読み落としたのか
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文脈のどこを見落としたのか
こうした振り返りを重ねることで、和歌に対する「目の付け所」が少しずつ洗練されていきます。
■ ステップ⑧:本文と和歌の関係を説明する練習をする
和歌は“本文とのつながり”が最重要です。
● 入試でよく問われるポイント
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和歌は本文のどの心情と一致するか
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和歌によって本文の状況がどう強調されるか
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和歌を受けて、本文の人物がどう変化するか
和歌そのものの訳が多少あいまいでも、この関係性がつかめれば得点が伸びます。
■ ステップ⑨:和歌を見た瞬間「ジャンル」を判断する癖をつける
和歌には大きく分けて3つのジャンルがあります。
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恋の歌
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季節の歌
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旅・別離・孤独の歌
ほとんどの和歌はこのどれかに分類できます。
ジャンルが分かるだけで、意味の推測が格段にしやすくなります。
■ ステップ⑩:日常的に和歌を読む習慣をつける
和歌は“量”がものを言います。
1日1首でも読むだけで、語彙も構造も感覚的に身についてきます。
おすすめの短期練習法:
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1日1首を10分で解く
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自分の意訳を書き、翌日読み返す
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週に1回、間違えた和歌だけ復習する
短時間で続けやすい習慣が、最終的に大きな力になります。
■ まとめ
和歌の読解は「暗記」ではなく、「推測しながら読む力」を育てる分野です。
そしてその推測力は、古文全体の読解力を押し上げる基礎にもなります。
文脈を読む → 情景を拾う → 心情に結びつける → ざっくり意訳 → 参考書で確認
この流れを繰り返せば、和歌が怖くなくなり、むしろ本文の理解を助ける頼もしい存在に変わります。
古文が苦手な受験生ほど、和歌を避けず、短い和歌から読む習慣をつけてみてください。
きっと古文全体の読解がスムーズになるはずです。


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