【古文】古文の助動詞「す」「さす」の違いを理解する

古文・漢文の勉強法

古文読解の中でも、生徒がつまずきやすい代表例が 「す」「さす」の違い です。
どちらも「使役・尊敬」を表す助動詞ですが、実際の入試問題では 文脈によって意味が揺れやすく、識別に時間がかかる 生徒が非常に多いのが特徴です。

しかし、両者の違いと使い分けは実は極めてシンプルで、
「ある一点」さえ理解すれば 正確かつ瞬時に判断できる ようになります。

この記事では、

  • 「す」「さす」の本質的な違い

  • 見分け方

  • 文法的に正しく理解する方法

  • 入試の記述・選択肢で問われやすいポイント

  • 読解に使える“流れの読み方”

を、高校生にも保護者にも分かりやすく整理して解説していきます。


■ 1. 「す」「さす」はどちらも使役・尊敬の助動詞

まず大前提として、両者は「意味」で分けるのではありません。
どちらも 使役(〜させる)/ 尊敬(〜なさる) の意味を持ちます。

意味は同じ。
では何が違うのか。

決定的な違いは 「未然形に付く」。これだけです。

  • 「す」:四段・ナ変・ラ変動詞の未然形につく

  • 「さす」:上二段・下二段・カ変・サ変動詞の未然形につく

これがすべての出発点です。

つまり、助動詞の意味で悩むのではなく、
前の動詞が何活用なのか で切り分けるのが正しいやり方なのです。


■ 2. 「す」=四段・ナ変・ラ変の未然形につく

古文動詞の大多数を占めるのが四段動詞なので、
「す」は圧倒的に登場頻度が高い助動詞です。

▼ 例

「書かす」=書く(四段)の未然形+す
「行かす」=行く(四段)の未然形+す
「死なす」=死ぬ(ナ変)の未然形+す

多くの文章でよく見るパターンですが、
“使役”か“尊敬”かは必ず文脈で判断します。

  • 主語が上位者 → 尊敬

  • 主語が動作を他人にさせている → 使役

という判断軸で読むと誤読しません。


■ 3. 「さす」=上二段・下二段・カ変・サ変の未然形につく

「さす」は 上一段・下一段・カ変・サ変 にしかつかないため、「す」より出現率は低めです。

▼ 例

「見さす」=見る(上一段)の未然形+さす
「得さす」=得(上一段)の未然形+さす
「食はさす」=食ふ(下二段動詞の古形の例)+さす
「来さす」=来(カ変)+さす
「せさす」=す(サ変)+さす

ここで重要なのはまだあります。


■ 4. 「す」と「さす」は使い分けではなく“前の語の制約”で決まる

多くの生徒が誤解しているポイントですが、
「す」と「さす」は話者の意図によって選ぶ助動詞ではありません。

前の動詞の活用の種類によって自動的に決まる のです。

つまり、
書き手が「書かさす」と書きたいと思っても書けない。
「見る」に「す」をつけたくても不可能。

古典の文法体系は厳密なので、
活用の種類 × 助動詞の組み合わせ が変わると不自然な文章になるのです。


■ 5. 「せ」「させ」の違い:テストで最頻出の落とし穴

現代語では

  • させる

  • せる
    を使い分けていますが、
    古文でも同じように見えるので混乱が起こります。

▼ 古文の基本

  • 「せ」=「す」の未然形

  • 「させ」=「さす」の未然形

助動詞の活用の問題で問われるのはここです。

▼ よくある誤答

「〜させ給ふ」→ “尊敬”として読んでしまう
(実際は使役+尊敬の場合もある)

文章を読むときは、

  • 誰が

  • 誰に

  • 何を
    させているかを把握するのが肝心です。


■ 6. “尊敬”と判断するパターン

「す」「さす」が尊敬になるのは 主語が身分の高い人物のとき です。

▼ 例

帝(みかど)、仰せらる。
「仰せさせ給ふ」
→ 帝が仰る(尊敬)

尊敬の語「給ふ/おはす」がセットで出てくることが多く、
使役との区別が容易になります。


■ 7. “使役”と判断する典型パターン

使役は以下のときに確定しやすいです。

▼ 1. 主語が一般人物

誰かが誰かに何かをさせるという構造。

▼ 2. 「人に」「子に」など対象が明示される

例:
「子に書かせたり」
→ 子に書かせた(使役)

▼ 3. 尊敬語とセットにならない

尊敬語がなければ基本「使役」で読むのが自然です。


■ 8. 入試で問われる“本当に大事なポイント”

入試問題では、ただ
「す」と「さす」の違いは?
という単純問題は出ません。

代わりに、
筆者の論理・登場人物の関係性・敬語の方向 と絡めて出題されます。

最も頻出なのは以下の3つです。

▼(1)使役か尊敬かの区別

特に記述問題で
「〜させ給ふは何の意味を表すか」
と問われることが多い。

▼(2)前の動詞の活用から選択肢を絞る

選択肢に

  • さす

  • しむ
    の3つが並ぶとき、
    前の語の活用で瞬時に切れるか が勝負。

▼(3)文章全体の主語が誰か

主語が移動すると使役・尊敬が変わるため、
「主語の把握」が読解の鍵になる。


■ 9. 現代語訳のテクニック:「〜させる」「〜なさる」どちらを使うか

訳すときは以下で判断できます。

▼ 1. 主語が高貴:尊敬(〜なさる)

例:帝、御門に入りたまはす。
→ 帝が御殿にお入りになられる

▼ 2. 主語が一般人:使役(〜させる)

例:親、子に習はせけり。
→ 親が子に習わせた

この基準だけで現代語訳の正確性が大幅に上がります。


■ 10. 「す」「さす」を瞬時に判断するための練習法

おすすめの練習方法は次の3ステップ。

▼ ステップ1:動詞の活用分類の暗記

  • 四段

  • 上二段

  • 下二段

  • カ変

  • サ変

これが曖昧な生徒は、助動詞の識別が絶対にできません。

▼ ステップ2:未然形への変化を確認

どの活用も、必ず未然形にできるようにする。

▼ ステップ3:例文を繰り返し音読する

「書か・す」
「見・さす」
「来・さす」
(※「来さす」はよく出る)

音読することで形が体に染み込みます。


■ 11. 家庭学習で保護者がサポートできるポイント

古文の助動詞は抽象的で、
勉強が苦手な生徒ほど「分かってるつもり」になりやすい分野です。

保護者ができるサポートとしては:

  • 一緒に例文を音読する

  • 「この動詞は何活用?」と軽く質問する

  • 使役と尊敬の見分け方を整理させる

この程度のサポートで理解が大きく進む生徒は多いです。


■ 12. まとめ:「す」「さす」は古文読解の基礎であり武器

助動詞「す」「さす」は古文の中で特に頻出で、
ここを正しく理解しているかどうかが
助動詞・敬語・主語判定・現代語訳
すべての領域に影響を与えます。

POINT

  • 意味は同じ:使役・尊敬

  • 違いは「前の動詞の活用」

  • 主語によって使役/尊敬を判断

  • 入試で最頻出の基礎文法

助動詞の理解は古文読解の“土台”です。
正しく理解できれば、文章の構造が格段に読みやすくなり、点数も安定します。

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