共通テストの現代文で「本文はなんとなく理解できた気がするのに、選択肢を選ぶと間違えてしまう」という経験はありませんか?
現代文の読解において、最もシンプルでありながら、成績の安定に直結する技術、それが**「指示語」の徹底的な追跡**です。指示語とは、「これ」「それ」「あの」「こうした」といった、直前や直後の内容を指し示す言葉のことです。
これらの指示語は、文章の論理的な流れを繋ぐ「情報伝達のバトン」であり、出題者からの「ここに論理の核があるから注意せよ」という隠されたメッセージでもあります。
この記事では、なぜ指示語を正確に追うだけで現代文の正答率が上がるのかを論理的に解説し、共通テストを攻略するための指示語追跡術を具体的な訓練方法とともに紹介します。
💡 1. 共通テスト現代文における「指示語」の絶対的な重要性
共通テストやセンター試験の現代文は、**「論理的な読解力」を測ることに特化しています。難解なテーマや抽象的な概念を理解できているか以前に、「筆者の議論の流れを正確に追えているか」**が問われています。
そして、この「議論の流れ」の繋がりを最も明確に示しているのが指示語です。
【指示語が正答率を上げる3つの理由】
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論理構造の可視化:
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現代文の文章は、「抽象的な主張」→「具体的な事例」→「その事例を踏まえた再主張」という構造を持つことが多いです。
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このとき、「こうした事例からわかるように」や「この問題の根源は」という指示語は、抽象論と具体論の区切り目を示します。指示語を追うことで、文章全体の論理構造が、まるで建物の骨組みのように明確に見えてきます。
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設問の正答根拠との直結:
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共通テストの設問は、本文の論理構造上の重要箇所から作られます。そして、指示語が指し示す内容は、その多くが「筆者の定義」「主要な主張」「対立する論点」といった、文章の核となる情報です。
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例えば、「傍線部**『この事態』の意味として最も適切なものを選べ」という設問は、指示語「この」が指し示す直前の内容全体**が、そのまま正答根拠になることを意味します。
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誤読・論理の飛躍の防止:
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指示語は、読者が「何を読んでいるのか」を常に確認させるためのストッパーです。
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曖昧な状態で読み進めると、「これ」が指す範囲を誤解し、結果としてその後の数行、ひいてはパラグラフ全体の意味を誤って解釈してしまいます。指示語を正確に特定することは、論理の飛躍を防ぎ、高い精度を維持するための必須条件です。
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📝 2. 指示語を正確に追跡するための「メモと確認」訓練
指示語を追跡する訓練は、特別な参考書は必要ありません。今手元にある問題集を使って、以下のステップで徹底的に「バトン」の受け渡しをチェックします。
【ステップ1:指示語の「色分け」と「囲み」】
問題を解く前に、まず本文全体の指示語をチェックします。
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「これ」「それ」「あれ」系の指示語(近称・中称)をすべて青いボールペンで丸く囲みます。
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「こうした」「そのような」「この」系の、文やパラグラフ全体を指す指示語(連体詞)をすべて緑色の蛍光ペンでハイライトします。
【ステップ2:追跡と「線引き」による可視化】
指示語を囲んだら、次はそれが何を指しているかを特定します。
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丸で囲んだ指示語(これ、それ):直前の文脈に戻り、指示語が指している「名詞句」または「文」全体に青い線を引きます。線は、指示語から指し示す内容へと向かう矢印として引くと、視覚的に論理の流れが分かります。
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緑でハイライトした指示語(こうした、この):「こうした状況」「この問題」のように、指示語が指し示す「状況」や「問題」が始まる箇所から指示語直前までの範囲全体を、緑色の蛍光ペンでハイライトし、大きな括弧で囲みます。
【ステップ3:解答後の「不一致チェック」】
問題を解き終えて自己採点した後に、この訓練の真価が発揮されます。
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間違えた設問: 間違えた設問の傍線部に指示語が含まれている場合、自分が引いた矢印(追跡した内容)が、出題者の意図と合致していたかを確認します。
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不一致の場合: もし不一致であれば、**「自分が追跡した範囲は狭すぎたか(例:単語一つだけを指していた)」「広すぎたか(例:前のパラグラフ全体を指していた)」**を分析し、どこまでが筆者の定義や主張の範囲だったのかを再確認します。
重要な注意点: 共通テストで指示語が指し示す内容は、多くの場合、**指示語のある文の「直前」**にあります。次のパラグラフや後の内容を指すことは極めて稀です。迷ったら、必ず「直前の文」に根拠を探してください。
📚 3. 指示語追跡を応用した「逆引き」読解法
指示語を追う練習を繰り返すと、本文を読むスピードが上がるだけでなく、選択肢を吟味する精度も向上します。
ア. 誤りの選択肢を見抜く「範囲のズレ」
誤った選択肢には、指示語が指し示す内容から**「範囲がズレている」**ものが含まれています。
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「過剰な範囲」: 指示語が「Aという問題」だけを指しているのに、選択肢には「Aという問題と、その背景にあるBという構造的な要因」までが記述されている。
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「不足した範囲」: 指示語が「AとB」という二つの要素を指しているのに、選択肢には「A」についてのみ記述されている。
正確に指示語の範囲を特定できていれば、選択肢がその「範囲」から逸脱していないかを一瞬でチェックできます。
イ. 接続詞との連携で「論理の繋がり」を強化
指示語は、接続詞と組み合わさることで、論理構造をさらに強固にします。
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「しかし、この問題は…」:
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しかし(接続詞):直前の内容と逆の主張が始まることを予告します。
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この問題(指示語):直前の文脈で提示された問題点全体を指し示します。
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この組み合わせを見たら、「直前に述べた事柄(A)に対して、筆者が持つ懸念点(B)」が始まるサインだと瞬時に理解できます。指示語が指すAを正確に特定することで、続くB(筆者の主張)の理解が深まります。
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ウ. 記述問題への応用:文章の「要約」技術
記述式の問題(国公立二次など)が出題される場合でも、指示語追跡術は有効です。
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「筆者がこの段落で最も言いたいことを200字でまとめよ」という設問では、段落内にある「この」「こうした」といった指示語が指し示している内容を、漏れなく、かつ簡潔に抜き出すだけで、要約の核が完成します。
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指示語が指す内容は、筆者がすでに定義付けを終えた「まとまった情報」であることが多いため、その部分を正確に抽出することが、質の高い要約につながります。
✅ 4. まとめ:指示語追跡は、現代文を「攻略する技術」の第一歩
共通テスト現代文における指示語は、単なる文法的な言葉ではありません。それは、文章の論理的な背骨であり、出題者が正解に誘導するための道標です。
指示語を曖昧なまま読み飛ばすのは、地図の読めない状態で森を彷徨うのと同じです。
今日から、すべての現代文の演習において、**「指示語を見つけたら立ち止まり、青い丸と緑のハイライトでその指し示す範囲を明確にする」**という習慣を徹底してください。この地道な「追跡」訓練こそが、現代文の読解を「感覚」から「技術」へと変え、あなたの共通テストの正答率を飛躍的に向上させる最短かつ最も確実な戦略となるでしょう。


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