「漢字の羅列を見ただけで頭が痛くなる」 「レ点や一二点などの返り点がパズルのようで、どこから読めばいいか混乱する」 「書き下し文の問題で、いつも送り仮名のひっかけにハマってしまう」
国語の中でも、古文以上に「アレルギー」を持つ人が多いのが漢文です。しかし、受験戦略の視点から言えば、漢文はこれほど「おいしい」科目は他にありません。なぜなら、覚えるべき句法や漢字は古文よりも圧倒的に少なく、正しい「読みのルール」さえ身につければ、短期間で満点が安定するからです。
漢文が苦手な人の多くは、いきなり全訳しようとしたり、返り点を目で追うだけで終わったりしています。漢文攻略の鍵は、視覚的な漢字の羅列を、日本語の論理構造へと変換する「正しい手順」にあります。
この記事では、漢文・書き下し文への苦手意識を払拭し、共通テストや二次試験で武器にするための「3ステップ練習法」を徹底解説します。
1. なぜ漢文・書き下し文でミスが起きるのか?
具体的な練習法の前に、まずは「なぜ読めないのか」の原因を明確にしましょう。
漢字を「意味」だけで追っている
漢文は「中国語」を「日本語の語順」で読むための高度なシステムです。漢字の意味だけをつなげて「なんとなく」理解しようとすると、文の構造(主語・述語・目的語)を見失い、書き下し文にした際に送り仮名や語順がメチャクチャになります。
「返り点」と「送り仮名」を別々に考えている
書き下し文は、返り点のルールと、句法に基づいた送り仮名のセットで決まります。一二点だけを追っていても、そこに「反語」や「受身」の型が隠れていることに気づかなければ、正しい日本語にはなりません。
2. 実践!漢文・書き下し文を攻略する3ステップ練習法
それでは、初心者からでも確実に力がつく、具体的なトレーニング方法に入りましょう。
ステップ1:英文法と同じ!「SVO」の構造を見抜く
漢文の基本語順は、日本語よりも英語に近いです。「主語(S) + 述語(V) + 目的語(O)」の形を意識するだけで、返り点の打ち方は驚くほどシンプルに見えてきます。
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練習のコツ: 白文を見たときに、まず「動作の主体(誰が)」と「動作(何を、どうする)」を探します。 例:「我愛君」(我君を愛す) 「愛」という動詞の下に「君」という目的語があるから、下から上に返って読む。この「英語的発想」を導入するだけで、レ点の意味が「単なる記号」から「構造の指示器」へと変わります。
ステップ2:重要句法の「瞬発力」を鍛える
書き下し文で最も差がつくのは、句法に関わる「書き換え」です。「不」「使」「為」などの重要漢字が出てきた瞬間に、頭の中で日本語の「型」が浮かぶようにします。
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音読による自動化: 句法の暗記は、目ではなく「耳と口」で行います。「不レ可レ〜(〜べからず)」、「使レ人〜(人をして〜せしむ)」といった重要フレーズを、リズムで覚えてしまいましょう。書き下し文が苦手な人は、この「日本語としてのリズム」が頭に入っていないため、不自然な語順に気づけないのです。
ステップ3:白文に「自分で」返り点と送り仮名を打つ
これが最も強力なトレーニングです。解説を読んで納得するのではなく、何も書かれていない白文に対して、自分で返り点と送り仮名を書き込んでみてください。
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セルフ添削のポイント: 自分で打った後に、解答の書き下し文と比較します。 「一二点を打つべきところでレ点にしていないか?」 「送り仮名の『ず』や『り』が正しく活用できているか?」 この「自分で再現する」プロセスこそが、本番の試験で「ひっかけの選択肢」を見抜く眼を養います。
3. 書き下し文問題で「あと5点」を稼ぐテクニック
試験本番で書き下し文の選択肢に迷ったとき、以下の3点をチェックしてください。
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「置き字」を読んでいないか: 「而」「於」「焉」などは、意味はあっても書き下し文には含めないルール(置き字)です。これらがカタカナで混じっている選択肢は即座に消去できます。
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「再読文字」の処理は正しいか: 「未(いまダ〜ず)」「将(まさニ〜す)」など、二度読む漢字の1回目と2回目の読み・送り仮名が完璧か確認します。
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助動詞の活用: 「〜ざらん(未然形+ん)」「〜ず(終止形)」など、日本語としての文法(古典文法)が崩れていないか。漢文の書き下し文は、実は「古文の文法力」のテストでもあるのです。
4. 保護者の方へ:漢文は「コスパ最強」の得点源です
お子様が漢文を後回しにしているなら、ぜひ「漢文は一番お得な科目だよ」と伝えてあげてください。
保護者の方にできるサポートは、暗記の「音読」を温かく見守ることです。漢文は「レ点、一二点……」と理屈で考えるよりも、声に出して「読める」ようになるのが一番の近道です。家の中で漢文を朗読する声が聞こえてきたら、それは正しい学習が進んでいる証拠です。
また、漢文の文章は「論語」や「戦国策」など、歴史的な教訓や人間ドラマが詰まっています。たまには「今日読んだ漢文はどんな話だった?」と聞いてみてください。自分の言葉で内容を要約して説明することは、読解力の向上に直結します。
5. まとめ:漢文をパズルから「言語」へ
漢文・書き下し文の攻略は、記号の暗記ではなく、構造の理解から始まります。
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英語と同じ「SVO」の語順を意識して、返り点の意味を掴む。
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重要句法を音読で体に染み込ませ、日本語のリズムを作る。
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白文に自力で書き込む練習を通じて、アウトプット力を磨く。
この3ステップを繰り返せば、最初は暗号にしか見えなかった漢文が、筆者の熱いメッセージや鋭い教訓が聞こえてくる「生きた言葉」へと変わっていきます。
私の個別指導では、ノートアプリを使って、生徒さんの目の前で白文がスラスラと書き下し文に変わっていく「思考のプロセス」を実演しています。
「どこを起点に読み始めればいいか分からない」という悩みを持っているなら、まずは短文の白文を一つ一緒に解いてみませんか?一瞬でパズルが解ける快感を、あなたにも体験してほしいと思います。


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